レコーディング④

マキちゃんをゲストに迎えたレコーディングの打ち上げは、場所をカラオケに移していた。


先ほどの居酒屋では、鋭い質問に戸惑ったが、カラオケだとそこまで深い話にならない。

正直、助かっている。


そんな中、僕はカラオケのフロント付近にある、喫煙所に来ている。

今日も長くなりそうなので、一息ついているところだ。


落ち着く…


なんて思ってると、喫煙所のドアが開いた。

誰か来たみたいだ、ちょっと端に寄らなければ…


「先輩…」


「ほのちゃん!?」


ほのちゃんはタバコを吸わない。


「どうしたの?」


「あの…その…えっと」


なにか言いづらいことだろうか…

さっきの居酒屋での会話もあるし、少し気恥ずかしい。


「今日…レコーディング…楽しかったですね…」


わざわざ喫煙所まで来てくれたのだから、何か重大な話かと身構えていたが、普通の会話だ。

どうしたんだろう?

外の空気を吸いに来たら、僕を見つけて、来てくれたのかな?


「そ、そうだね!色々と難しかったけど、結果うまくいって良かった!」


「先輩のドラムも…いつも通りの実力が出せて…よかったです…」


「ほのちゃんのアドバイスのおかげだよ!本当にありがとう!」


「…!…いえ…とんでもないです…私はただ…」


ほのちゃんが止まってしまった。


「ほのちゃん…?」


「…」


飲みすぎてしまったのだろうか?


「ほのちゃん大丈夫?お水とか買っ…」


「今日、先輩の家に泊まっても良いですか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る