告白①

今日はいつものスタジオ練習。


事前に、話があることを3人には伝えていた。

スタジオに入ってから、冒頭の時間を少し頂いた。


3人にはスタジオ内の丸椅子を並べて座ってもらった。

僕はその前に立ち、話始めた。


「俺は…このバンドが好きだ!!」


3人はきょとんとしている。


「3人とずっとバンドがしたいと思っている!!」


誰も茶化さずに聞いてくれて、嬉しい様な、恥ずかしい様な。

でもいいのだ。

今日、僕は全てを正直に話すと決めたのだから。


「そして俺は…3人とも大好きだ!!でも…それが恋愛の好きかどうか分からない!!」


3人はさらにきょとんとしているが、構わず続ける。


「皆が俺をどう思ってくれているのか、正直難しい!!良く分からない!!だから物凄い勘違いだったら本当にごめん!!殴ってくれ!!でも俺は、3人とも大切だから、時間をかけてでも答えを出す!!もし迷惑とか、幻滅とか、そもそも違うし、とかあったら言ってくれてもいいし、見捨ててくれても良い!!でも、君らのドラマー、そして作詞家では居させてほしい!!!頼む!!!」


「ぷっ…!あっはっはっは!とんでもない人だね!ビジンは!」


あっちゃんの爆笑が沈黙を破った。


「それ…自分で何言ってるか分かってる?」


菜奈さんが呆れた様にこちらへ問いかけてくる。


「わかってます…!」


僕は菜奈さんの目をまっすぐ見て返す。


「もう…仕方ないな…」


菜奈さんは笑ってくれた。


「…」


さっきからほのちゃんが下を向いているのが不安だ。


「ほのちゃん…」


つい名前を口に出してしまった。


「…やっぱり、先輩は面白いです…」


ほのちゃんは笑顔で返してくれた。

僕は知っている。

ほのちゃんが愛想笑いをする様な人ではないことを。


正直、人として見捨てられる覚悟をしていた僕は、そうならなかったことに驚いた。


「みんな…!ありがとう…こんな俺を受け入れてくれて…!俺は必ず…答えを出すから!」


「それはそれでちょっと怖いかも…なんて!」


ほのちゃんと菜奈さんは驚きの顔で、あっちゃんを見る。

そして、少しして二人は何かを察したように、笑顔とも悲しい顔ともとれる表情をしたのだった。


「さあ!話は終わり?練習しましょうか?」


菜奈さん、流石だ。


今日の練習はいつもよりフワフワしていたように感じた。

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