遊園地①

季節はギリギリ秋。

まだ厚着をすれば、そこまで寒くない。


電車に揺られて1時間強。

メンバー4人で遊園地に来た。


来てしまったと言ってもいいだろうか。


ほのちゃんとは、電話の1件から少し気まずい。

というか気恥ずかしい。


菜奈さんは、家に泊めてから以来だ。

こちらも当然気まずく、気恥ずかしい。


なので僕は遊園地までの道中、そのほとんどをあっちゃんとのお喋りに費やした。

話しやすい…!


そして現地に到着し、今に至る。


「いやー!来ちゃったね!!遊園地!!!」


あっちゃんのテンションはいつも通り、そしていつもより高い。


「そうだね~…」


僕は後ろをチラッと見る。

ほのちゃんと菜奈さんは数メートル後ろにいる。

絶妙な距離感だ。


「遊園地…久しぶりです…」


「ほのちゃんも?私も久しぶりかも」


菜奈さんと目が合いそうになる。

つい、目をそらしてしまう。


あっちゃんは3人に向かって話しかける。


「何から乗ります!?私的にはやっぱりジェットコースターから行きたいかな~!」


菜奈さんが答える。


「いいよ。ジェットコースターから行きましょうか」


そこから僕らはしばらくの間、アトラクションを満喫した。

その間、やはり僕はほとんどの間、あっちゃんと喋った。

自然と2対2の構図になっていた。


少し疲れたので、フードコートの様な室内エリアで遅めの昼食を取ることになった。


僕とあっちゃんは中華にした。


荷物を見てくれていた、ほのちゃんと菜奈さんとバトンタッチをし、今度は僕らが荷物番だ。


あっちゃんは呼び出しブザーをいじりながら、突然切り出した。


「なんかあったでしょ」


僕は思わず、目を丸くしてあっちゃんの方を見る。

あっちゃんはニヤニヤしていた。


「分かる?」


「分かるよ~…分かりやすすぎ!」


あっちゃんは金髪を耳にかけながら続ける。


「スタジオの日、ほのちゃんとビジンが気まずそうにしてたでしょ~?そしたら今日、菜奈さんとも喋らなくなってるの!もう!何なの!」


腕を小突かれてしまった。


「ごめん…」


「何か、悔しいな~…」


悔しい?

どういうことだろうと再度、あっちゃんの方を見た。


あっちゃんの顔は僕の目の前にあった。

すごく良い匂いがした。


あっちゃんは僕にキスをした。

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