第24話 相良の未来、そして日本の夜明け
採掘された原油は、近くの川を使って川船で陣屋の一角に設けられた精製施設へと運ばれた。
そこでは、俺が持ち込んだ未来の知識に基づき、簡素ながらも効率的な精製設備が作られていた。
熱を加え、不純物を取り除くことで、透き通った琥珀色の精製油が次々と生み出されていく。
その精製された油は、オイルランプの燃料として、駿府の町へ、そしていずれは日本の隅々へと届けられることになるだろう。
相良の陣屋は、もはや単なる古い建物ではなかった。
それは、新たな文明を創造するための拠点であり、未来への希望が詰まった場所だった。
若者たちは、採掘作業と精製作業に精を出し、その顔には充実感と誇りが満ち溢れていた。
彼らは、自分たちが歴史の転換点に立ち会っていることを、肌で感じていた。
やがて、相良の油は、駿府からさらに遠くの町へと広がり、夜の闇を明るく照らすことになるだろう。
人々は、オイルランプの光の下で学び、働き、語り合う。
今まで不可能だった夜間の活動が可能になり、生活は豊かになり、文化は発展していく。
それは、まさに文明開化の波だった。
俺は、幸と共に、遠くに見える富士山を眺めた。
その雄大な姿は、まるでこの国の未来を象徴しているかのようだった。
「主任、これから、もっとたくさんの人に、この明かりが届きますね」
幸が穏やかな声で言った。
その言葉に、桜は深く頷いた。
俺の使命は、まだ始まったばかりだ。
しかし、確かな一歩を踏み出した今、その未来は、かつてないほど明るく輝いて見えた。
この相良の地から始まる、小さな「文明開化」。
それは、やがて日本全体を包み込み、新たな時代を切り拓いていくだろう。
そして、その光の先には、桜が夢見た、豊かな未来が待っているはずだ。
(俺の童貞魔法使いとしての歴史は、まだ始まったばかり!これからどんな「魔法」を披露できるか、楽しみになってきたぜ!そして、この事業が成功すれば、俺のハーレムも…ふっふっふ)
油とオイルランプの販売は、相良の陣屋を拠点として順調に伸びていった。
駿府の商人は増産を依頼し、その勢いは留まることを知らなかった。
相良の港には活気が戻り、人々は希望に満ちた顔で働いている。
(うむ、俺の『未来知識チート』と『童貞魔法』、そして桜のカリスマが、この明治の世に文明開化をもたらしている!)
しかし、俺と幸は、この成功の裏で、ずっと気になっていたことがあった。
それは、俺たちの活動の根幹を支える**「燃料」**のことだった。
精製した油の成分と、静音型発電機用の補充用燃料から取った燃料。
この二つの燃料は、見た目こそ似ているが、本当に同じものなのか?
そして、もし違いがあるのなら、それは何なのか?
俺たちは、EV車に積んである成分分析機を使って、それらを詳しく調べてみることにした。
(まさか、異世界で科学捜査をすることになるとはな!これも童貞魔法使いの宿命か!?)
成分分析の結果は、当然ながら違いを示した。
精製された相良産の軽油もどきは、静音型発電機用の燃料よりも、わずかに不純物が多かった。
しかし、使えないほどではない、と俺は判断した。
「主任、これならいけそうです。試しに動かしてみましょう」
幸の言葉に、俺は頷いた。
俺たちは、教育用に持ち込んできたディーゼルエンジンを、相良産の軽油もどきで動かしてみることにした。
キィィィン……と、重々しい音が焼津の屋敷の庭に響き渡った。
エンジンが唸りを上げると、そのけたたましい音に驚いた屋敷の人々が次々と集まってきた。
何事かと目を丸くしている彼らに、幸が桜の元へ駆け寄り、状況を説明した。
「桜様、主任たちが、相良で採れた油でエンジンを動かしているのです!」
幸の説明に、桜は目を輝かせた。
彼女の顔には、新たな可能性を見出した喜びが浮かんでいた。
(この美少女、本当に未来の技術には目がねぇな!その探究心、俺は嫌いじゃないぜ!むしろ大好物だ!)
エンジンの動きには別段おかしな点は見られなかった。
排気ガスの色も、音も、特に異常はない。
これならいける。
そう確信した俺たちは、次に静音型発電機に入っていた燃料を抜き取り、こちらも相良産の軽油もどきで試すことにした。
発電機を動かすと、さすがにディーゼルエンジンのような大きな音はしないが、それでも、以前の燃料を使っていた時と比べて、若干発電時の音に変化が出たように感じられた。
しかし、これもまた、おかしな点が見られない。
むしろ、この音の変化は、燃料の特性によるものだと考えれば、問題ない。
「よし、発電機にも使えそうだ!」
俺の言葉に、幸は安堵の息を漏らした。
これで、燃料の心配はなくなる。
そう考えると、二人の顔には達成感が浮かんでいた。
(よし、これで俺の童貞魔法も電力供給安定だぜ!これで、この文明開化の波は誰にも止められない!)
その日のうちに、俺たちは発電機用の燃料を全てEV車に移し、今後は相良産軽油もどきを使うことにした。
これにより、俺たちはEV車が動かせないので、どうしても活動拠点を焼津の屋敷に置いているので、動かさないが、それでも中に積んであるCADを始め各種装置を動かすには燃料は必要だ。
当分は静音型発電機用の燃料で用は足りるだろうが、そのうち相良産の燃料も使えるだろう。
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