三十夜 旅は道連れニャイト
「いやお前、本当に何者にゃ? ちょっと興味が湧いちまったじゃねぇか!」
クロノアが言い寄って来るが、暑苦しいにゃ。
「ぐ~たら猫だと言ってるにゃろう? そんにゃことより手を動かせにゃ」
カツン、カツン、ミャスリル銀の採掘はすぐに終わった。というのは大量に必要としにゃいからだ。バド爺の依頼分とクロノアの謝礼分があればいい。あまり欲を出して流通させると、噂が広まってここを荒らされかねにゃいからにゃ。
「オルガ、いいか? ここの管理はお前に任せる。にゃが、ギルドには報告するなゃ。バド爺の依頼のみ受けろ。お前以外の者が採掘に来た場合は、この地竜に噛み殺されると思えにゃ」
「物騒ですにゃ」
「あたりまえにゃ。そう簡単にミャスリルが手に入ると思われては困る。あのバド爺にも大量に流す気はにゃい。管理は任せるが、もし、お前がミャスリル銀を横流しするようにゃことがあれば、お前との約束は破棄させてもらうにゃ。それから、ココル」
フン、首を縦に振り、ズルリと前に出るココル。
「お前にこの洞窟の入口を任せてもいいか? オルガと俺、そしてこの二人が認めた者以外の立ち入りを阻止して欲しいにゃ」
フンフン、首を縦に振る。
「いいこにゃ。にゃが、言っておく。これだけは約束してくれ。絶対に無理はするにゃ。勝てにゃい相手には手を出すにゃ」
コテッと首をかしげるココル。
「俺とお前は友だちにゃ?」
フンフン縦振り。
「俺はお前が大好きだからにゃ? ここで無理して傷つくくらいにゃら、こんな約束は破棄して俺の所に遊びに来いにゃ。いつでもいっしょに遊ぶにゃよ」
ズルリと身を乗り出して体を巻きつけてくる。圧力がギリギリにゃ。骨がギシギシ悲鳴をあげてるにゃ。
「中には地竜もいるにゃから、お前が無理してまで傷つくことはにゃいのにゃ。また遊びに来るからにゃ。元気でいろにゃ!」
ギュウウウ⋯⋯ミシシッ。
「うぐっ! おいおい、加減をしろにゃ」
ペロリと頬を舐めるココル。ういやつめ。
「クロノア、世話ににゃったにゃ」
「いや、こちらこそ案内しただけでこんにゃにいただいちゃって良かったのかにゃ?」
「かまわにゃーにゃ。それよりクロノア、お前は風を感じるにゃか?」
「峡谷は風が強いにゃ。感じにゃー方がおかしーにゃ」
「そうか。にゃらいいにゃ」
クロノアが何か言いたげにゃが。
「なあノックス──」
「──断る」
「ひでぇ! まだ何も言ってにゃーにゃ!!」
「どうせ俺について来るとか言い出すにゃ」
「ノックスお前⋯⋯猫の心が読めるにゃか?」
「んにゃわけあるか。俺についていけば美味しいお宝にありつける、そんな顔をしてヨダレを垂らしていれば誰でもわかるにゃ」
「ギクッ!」
わざとらしいにゃね。まあ、憎めんヤツにゃが。
「まあ、にゃんだ。お前は
「にゃ」
「にゃあ、俺は行くにゃ!」
「「「にゃ!」」」
クロノアは荷物をまとめて歩き始めた。
「にゃあ、俺たちも行くにゃ。ココル、また来るからな!!」
「ココル、またね!」
「俺はすぐに戻って来るぜ!」
ココルは尻尾を細かく振りながら、体をゆっくり横に揺らして見送っているにゃ。
俺はオルガに馭者を任せて、一眠りすることに決めた。
⋯⋯。
⋯⋯度し難いにゃ。
「おい」
「にゃ?」
「にゃんでお前がいるにゃ? デニャブ王国はどうしたにゃ?」
「途中まで乗せてくれても良いにゃろ?」
俺の横で寝転がるクロノア。ミャスリルも乗っているから荷台が狭いにゃ。
「厚かましいにゃ」
「旅は道連れ夜は情けにゃ?」
「俺たちは旅から帰るところにゃ」
「ケチくさいこと言うにゃにゃ」
「俺はゆっくり寝たいのにゃ」
「寝てたら良いにゃ?」
⋯⋯。
「わかった。寝るにゃ。適当に降りるんにゃよ」
「にゃ。恩に着るにゃ」
⋯⋯。
「本当に寝やがった。とんでもにゃー豪胆にゃヤツにゃ」
「あっしが知る限りでも、トップレベルにゃ。このノックスさんの強さでニャイトじゃにゃーにゃんて、ニャイトってどんにゃに強いですにゃ?」
オルガがクロノアに尋ねた。
「俺が知っているニャイトはやはりとんでもにゃー強さにゃ。強さと言う意味ではノックスにゃんて比じゃにゃーにゃ。にゃが、ノックスの強さはそこじゃにゃー。得体が知れにゃーにゃ。何者にゃのか俺も気ににゃるところにゃが、詮索する気はにゃーにゃ。一緒にいて気持ちの良いダチは貴重にゃからにゃ」
「にゃるほど。俺も一度はニャイトを目指した身。騎士団長ににゃって、それにゃりに自信はあったにゃが、ノックスさんと一緒にいると自信をなくすにゃ。クロノアさんにも敵う気がしにゃーで、俺も思い上がっていたもんにゃと、今では思いますにゃ」
「まあ、騎士団にいちゃあ見えねえもんを見てきたからにゃ? それだけこの夜は広いと言うことにゃ」
「テンテ⋯⋯」
「寝言か?」
「どんだけ好きにゃんだ?」
ハハハハ!
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