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未来の宇宙管理局を舞台に、人類が失った“行間”の感性を取り戻す物語が展開する。月を汚す概念物質は、想像力の衰退や言葉の軽さを象徴し、清掃作戦はそれへの祈りのようでもある。AI解析では届かない「綺麗」という感情を描く終盤は、科学と詩が融け合う美しいクライマックスだ。静謐でありながら力強い、“言葉”そのものへの讃歌。『月が綺麗ですね』