第27話 初対面が修羅場!? もふもふ翼VSもふもふしっぽVSちびっ子バトル勃発!?
「あー、ドウェイン。これは一体どういう状況だ?」
『……ちょっとな』
「あらあら、まぁまぁ」
「す、凄い動きですね」
「ハハハッ!! まさか最初に見る姿がこれなんてな!」
「これは止めなくて大丈夫なのか? 怪我をするんじゃ……」
『あー、まぁ、いつもの事と言えばいつもの事で、今までに怪我をしたことはないから、大丈夫と言えば大丈夫だ』
『りんとぽこちゃんのけんか、ぼくはかんけいないのに、ぼくのおやつなくなった!』
パサッ! パサッ! パサッ! パサッ! パサッ!
『おいりゃにょ、しぇいじゃにゃいじょ。おにぇしゃじゃにゃいりんが、わりゅいじょ』
ペシッ! ペシッ! ペシッ! ペシッ! ペシッ!
「あたち、いまはなにもいっちぇない!」
パシッ! パシッ! パシッ! パシッ! パシッ!
『いっちゃじょ! いりゃにゃいいったじょ!』
ペシッ! ペシッ! ペシッ! ペシッ! ペシッ!
「いらないから、いらないいっちゃ! ほかはいっちぇない!」
パシッ! パシッ! パシッ! パシッ! パシッ!
『だから、ぼくはちがう! ぼくのおやつなくなった!』
パサッ! パサッ! パサッ! パサッ! パサッ!
この時、私は気づいていなかったんだ。新しい家族が到着したことに。
ちょっと、まぁ、うん。ルーファスとぽこちゃんと揉めててね。私は別に何もしていないし、何も言ってなかったんだよ? それなのにぽこちゃんがさぁ。
グリフォンの縄張りを出発して約1時間30分くらいかな。何事もなく順調に飛び続けた私たちは、新しい家族と待ち合わせをしている森の出口に、予定通り着いたんだ。
ドウェインたちに飛んでもらって、1時間30分だからね。初めてこの世界に来た時は、森をしっかり確認する余裕なんてなかったし。今更ながらしっかりと空から森を見て、自分がこんなだだっ広い森にいたのかってビックリしたよ。
人が森を端から端まで歩くとなると、かなりの日数がかかるって。そりゃあ、あれだけ広ければね。
こんな広い森でドウェインと頭突きで出会えたなんて、どれだけの確率なのか。改めてドウェインに感謝したよね。私と出会ってくれてありがとうって。
と、まぁ、無事に待ち合わせ場所に着いた私たち。まだ新しい家族や、一緒に来る人や魔獣たちの気配は感じないということで。私たちはそのまま待機することに。
だけど、朝早くに出てきたせいか、少しの朝ごはんしか食べてこなかったルーファスとぽこちゃんが、お腹が空いたって言い始めて。だから途中で食べるために持ってきていた、おやつを少し食べることにしたんだ。
モーモっていう、桃みたいな果物があってね。とっても美味しいだけじゃなく、果汁もたっぷりで、飲み物代わりにもなるから。長旅をする魔獣はよく持ち歩いたり、探しながら旅をするんだって。
どこにでもよくなっていて、困ることはないみたい。魔獣たちにとっては、いつでも食べられるけど、大切な果物なんだ。
そのモーモを、ぽこちゃんママが私たちに1つずつ出してくれて、最初は問題なく食べていたんだよ。
だけど3分の1くらい食べたところで、ポコちゃんが私に話しかけてきて、何かと思ったら、
『おいりゃ、あたりゃちいおうちいったりゃ、りんにほんちょの、おにぇしゃん、おちえてあげりゅじょ』
なんて、お姉さんの話しをしてきたんだ。だから私は、
「ほんちょのおねえしゃん、あたちおねえしゃんだから、おちえてもらわなくていい」
って断ったの。それなのに食い下がってきたぽこちゃん。そのせいで、
『おちえりゅじょ!』
「いらない」
『おちえりゅじょ!』
「いらない」
という会話が繰り返され。私は、『もう知らん!』と別の方向を見て食べようとしたんだ。そうしたらまさかの、ぽこちゃんの新しい技が飛び出したの。
感情が昂ると、膨らむぽこちゃんのしっぽ。いつもみたいに膨らんだと思って、仕方ないけど叩き返すかなんて考えていたら、なんとそのしっぽが2つになったんだ。
タヌーンはしっぽでも、攻撃をすることができるんだけど。なんていうか、地球で知られている、九尾の狐みたいな感じかな。大きくなるにつれて、しっぽをその時々で増やせるようになって、最大7本まで増やすことができるの。
だけど何故か、まだまだ赤ちゃんで、しっぽが増えるはずのないぽこちゃんが、1本しっぽを増やしたもんだから、みんな驚いてその時は動きが止まってね。
でも、ハッ!! としたぽこちゃんが、その2本のしっぽで私を攻撃。私は私で、なんとかその攻撃に反応し、両方のしっぽ攻撃を叩くことに成功。
ただ、それでぽこちゃんが止まるわけもなく、続けて攻撃してきたぽこちゃん。それを止める私。そんな攻防が少し続くことに。
と、何回目かの攻撃だったか。ぽこちゃんのしっぽが、ルーファスのモーモにヒットしちゃったんだ。
そのせいで、ルーファスは上手いこと足にモーモを乗せて、土がつかないように食べていたんだけど、モーモが地面に転がっちゃって砂だらけに……。
怒ったルーファスが翼で私とぽこちゃんを攻撃。私は、ぽこちゃんとルーファスの攻撃を叩いて止め。ぽこちゃんは、私を攻撃しながら、もう1本のしっぽで、ルーファスの翼を叩き。
こうして、3人の戦いが始まっちゃってね。それで、家族が到着したことに、全く気づかなかったんだ。
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