第18話 トレーニング後

(※大橋空視点)


 2キロの走るトレーニングを終えた俺達4人は公園で休息を取る。


 花見と柚木は疲れた顔でベンチに座る。頭を垂れながら身体を休ませる。最初に新浜のペースに合わせた反動だろう。


「どう? 見てた? 俺の走りぶり? 2人どう思った? 」


 一方、新浜は愉快な口調で花見と柚木に話し掛ける。気分が良さそうに花見の隣に腰を下ろす。


「…うん。…すごかったね」


 花見は下を向いたまま返答する。


 柚木は未だに色濃い疲労から返答の余裕が無い。下を向いたまま息を乱す。


「そうか。そうだよね! 僕、速かったよね!! だって1番に2キロを走り終えたからね!! 」


 新浜は花見からの同意を受けて自画自賛する。花見からの言葉が嬉しかったのだろう。頬を緩めて気分が良さそうに目を細める。


 花見は新浜の自画自賛に苦笑いを浮かべる。呆れにも似た表情に見える。


 一方、俺は公園内の自動販売機に貨幣を入れる。


 1本ずつスポーツドリンクを購入する。花見達への労いも込めて3本ほど調達する。自動販売機から吐き出されたペットボトルを入り口から取り出す。


 俺は3本のペットボトルを抱えるように持ち運ぶ。


「ほら、花見、柚木、新浜。スポーツドリンクだ」


 俺は花見達3人にためにペットボトルの存在を伝える。


 花見と柚木は俺の声に反応して顔を上げる。


 新浜も遅れて視線を向ける。不服そうに目を細めたまま。


「大橋先輩。いつもありがとうございます」


「本当に助かります」


 花見と柚木は順に俺からペットボトルを受け取る。まずは花見、次に柚木にペットボトルを渡した。


 花見と柚木は体力回復のために水分補給を始める。ペットボトルの蓋を開錠してから中身を体内に流し込む。


「ほら、新浜もどうだ? 少なからず喉は乾いてるだろ? 」


 俺は新浜に最後の1本を差し出す。


「…全然。余裕ですよ」


 新浜はパッと冷たく奪い取る。 


「いいんですか? 大橋先輩は喉が乾いてないんですか? 」


 新浜は返事を待たずにペットボトルの中身を勢い良く煽る。言葉とは裏腹に一気に半分まで飲み干してしまう。


「ああ。俺は大丈夫だ」


 新浜が1呼吸置いたのを確認してから返答する。


「そうですか。…強がらなくてもいいのに」


 新浜は余計な嫌味を口にする。


「どう? だいぶ息は整ってきた? 大丈夫? 」


 新浜は俺から興味を消して花見と柚木に意識を向ける。2人に対しては明らかに態度が異なる。特に口調が2人の体調を心配している。


 そんな劇的な態度の変化に直面する。


 やっぱり俺は目の前の男を苦手だと強く思った。

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