私の初カレ沖田くん!

ジャク

プロローグ


 女の子なら誰しも、一度は王子様に憧れると思う。自分をカッコよく守ってくれるような、自分にとってオンリーワンの。大ピンチーって時にスパっとカッコよく助けくれる王子様がいたら誰だって惚れる。

 例に漏れず、私も。小さい頃からずぅっと憧れてきた。私専用の王子様。でも、そんなものはだんだんファンタジーの中だけになって、期待したくてもできなくなった。それでも、王子様みたいな人を追いかけちゃって、結局今までカレシがいたことはない。

 もちろん、恥ずかしいと思ってる。

 高校2年生にもなって、仲のいい男子の一人もいないんだから。

こんなんじゃ将来が思いやられる。将来は25歳に結婚して家庭を持って、お庭の広いお家で幸せに過ごすんだ〜なんて思ってるのに、これじゃ結婚どころかお付き合いも無理だよ。


 しかし5月、そんなしくしくムードの私に大きな転機が訪れる。まさに私の始まってもいない恋愛史上最大の出来事。ビッグバン。

言うなればこれは、王子様の登場。しかも、私専用。



 学校からの帰り道、変な輩に絡まれて八方塞がりな私。足はガタガタ震えてる。尻餅をついて後ずさった背後は壁だった。

 ジリジリと迫り寄る柄の悪い大人たちに、なす術なく誘拐でもされちゃいそうな、その時。

私の前に立ちはだかる浅葱色の衣を身に纏った男の子。彼の纏った衣が鮮やかに揺らめいている。

ヒロインのピンチに現れたヒーローに思わず胸が高鳴った。


でもこれは違う。


どうして王子様がさ、


刀を構えてて、


髪が黒髪のポニーテールで、


 「か弱いおなごをいじめるなんて、ほんと、ゲスだね。キミたち」


あざとくて少し生意気で、年下の


沖田総司なわけ!?!?

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