百合エッチ文体訓練

宮吉 龍

嫌よ嫌よも好きのうち

 誰もいない放課後の教室で私は、美鈴さんを組み伏せていた。

 べつに、美鈴さんがやってとか頼んだんじゃなくて、美鈴さんの顔が可愛くて、私のことを馬鹿にしてきたからムカついて、美鈴さんから受けた傷が痛かったから。


 首を絞めていた。


「どんな気分?」

「べつに、あんたに何されようが何も思わないよ、さっさとどいてくんない?」


 美鈴さんを殺すつもりはないし、苦しい思いをするべきじゃないって思うから、添えるように圧迫している。


 話すたび、手に振動が伝わってくるようで、ちょうど電動マッサージ機を布団越しに触っているみたいなそんな感じ。


 手の中で上下に、かすかに移動している喉仏はこりこりしてて、なんだかちょっとエロいなって思う。


 何も思わないならいいのかなって思ったから、少し力を入れた。

 どれくらいしていいのかわからないから、60数える。

 私の手に美鈴さんの手が添えられて、爪を立てられて、傷ができる。

 痛いなって思う。


 でもそれも最初だけで、よわよわしく。


「……っ……ぁ」


 言葉になっていない声、苦しそうな音、息をしているのに顔が真っ赤で、口をパクパクさせてる美鈴さん。


 可愛い。


 だけど、そろそろかわいそうだなって、だから緩める。


 荒い咳と、気持ちよさそうな蒸気みたいな呼吸が、私にとって宝物みたいに、綺麗で、美しかった。


 触れるか触れないかの間、首筋を指先でなでる。

 なんども、なんども。


 するたびに可愛くて高い声を出している美鈴さん。


 両足で腕を押し付けるようにして、動けないようにして。


「暴れたら、指、折るから」


 そういって、服を脱がせる。


 ボタンをいっこいっこはずしていって、見せつけるように、美鈴さんは目をつぶっていた。

 泣いてる。


 可愛い下着だなって思った。


 白色。


 そのまま、腕を開放して、彼女に口づけをしてやる。

 舌を入れて、唾液を飲ませてやる。


「んー」みたいな感じで、キスされながら何かを話そうとしている美鈴さんは、不良のくせに、私をいじめているくせに、私なんかにいじられて、よがって。


 かわいそう。


「今日は誰も来ないから」


もしかしたら、忘れ物をしたとかで誰かが帰ってくるかもしれないけど。


たぶん帰ってこないかなって思ったから。


私も服のボタンをはずす。


そっと、肉と肉を重ねあった。

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