性癖バレで追放された俺が、スパンキングで世界最強になった件

茶電子素

最終話

俺の名はレイ。

美女パーティーの”元”荷物持ち兼雑用係だ。

まあ正確には”追放された”だが。


理由は単純――俺の性癖がバレたからだ。

「スパンキングが好き」ってだけで、

あの女たちは鼻で笑い俺を追い出した。

剣の腕も、回復魔法の知識も、全部無視して。


それから半年。

俺は一人で魔物を狩り、地道にレベルを上げ、

気づけば街で「ソロでドラゴンを倒した変態」

と噂される存在になっていた――変態は余計だ。


そんな俺の前に、かつての美女パーティーが土下座してきた。


「レイ……助けて……!」


リーダーの剣士カレンが涙目で訴える。

背後には僧侶のマリア、弓使いのエレナ、魔導士のソフィア。

全員ボロボロだ。

どうやら、この高難度ダンジョンで返り討ちに遭ったらしい。


俺は腕を組んで見下ろす。

胸の奥で半年分の鬱憤がふつふつと煮えたぎる。


「俺を追放した理由、覚えてるか?」

「……ごめんなさい。あのときは、笑って……」

「俺の性癖をわらったよな」


四人は顔を赤らめ、視線を逸らした。

俺は深呼吸してから、静かに告げる。


「条件がある」

「な、何でもする!」

「スパンキングさせろ」


空気が凍った。

カレンが剣を落とし、

マリアが「ほぇ?」と素っ頓狂な声を上げる。

エレナは耳まで真っ赤にし、

ソフィアは「やっぱり変態じゃない」と呟いた。


俺は真剣だ。

「俺を笑ったことを許すつもりはない。ただし、俺の性癖を受け入れるなら考えてやる」

「……っ!」


四人は互いに顔を見合わせ沈黙した。

そのとき、ダンジョンの奥から地響きが響いた。


巨大な魔獣が迫ってくる。

彼女たちは戦える状態じゃない。

俺が助けなければ全滅だ。


「どうする?時間はないぞ」


カレンが唇を噛み、震える声で言った。


「……わかった。やればいいんでしょ!」

「お、おいカレン!?」

「命には代えられないでしょ!」


俺は頷き、彼女を壁際に立たせた。

手を振り上げる


――スパァン!  


乾いた音が響く。

カレンの顔が真っ赤になる。

マリアとエレナは口を押さえ、

ソフィアは「信じられない……」と呟いた。


だがその瞬間、俺の中で力が爆発した。


「……来た!」


俺の固有スキル《性癖解放》が発動する。

スパンキングによって魔力が増幅され

身体能力が跳ね上がるのだ。

追放されたときは未熟で気づかなかったが

今や完全に制御できる。


俺は迫り来る魔獣に飛びかかり

拳で殴り飛ばした。

轟音とともに巨体が吹き飛び、壁に叩きつけられる。


美女パーティーが呆然と俺を見つめる。


「……う、うそでしょ」

「スパンキングで強化って……」

「変態のくせに、強すぎる……!」


俺は肩で息をしながら振り返った。  


「条件は果たした。これで貸し借りなしだ」


カレンは口を押さえ、涙目でうなずいた。

マリアたちも頭を下げる。

俺は背を向け、出口へ歩き出す。


「ま、待って!お願い……もう一度いっしょに!」


「……悪いな。俺はもう、変態と笑われるだけの存在じゃない。俺は俺の道を行く」


振り返らずに手を振る。

背後で彼女たちの叫びが響くが、俺の足取りは止まらない。  

俺を追放した美女パーティーよ。今さら泣いても……


――もう遅い。

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性癖バレで追放された俺が、スパンキングで世界最強になった件 茶電子素 @unitarte

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