ヒガシの帝王〜The Final〜

福竜

第1話 逆賊

 京の都にて。

聚楽第(じゅらくだい)では、盛大な式典が行われていた。それは関中王・秀吉が建てた邸宅で、

雅(みや)びでありながら、

落ち着きのある、

美しい建物だった。

「新・征夷大将軍に、乾杯!」

乾杯の音頭を取ったのは、

総理大臣・中市聡子(なかいちさとこ)である。彼女は二人目の女性総理大臣で、高市早苗氏の愛弟子であった。

(ようやく、ようやくやで。)

関中王は、しみじみそう思う。

初代・豊臣秀吉も成し得なかった、

征夷大将軍に

任命されたのだ。

これで名実共に武家の棟梁(とうりょう)となり、

日本の武家をまとめられる。

「秀吉殿、なぜご遠慮に?」

「総理、私は恵まれすぎております。」

関中王は今回、

福井県と岡山県を

国に返還した。

贅沢な暮らしには興味も無い。

褒美は充分すぎるほどいただいている。

「しかし、秀吉殿は日本の総大将。

 みな、納得しますよ?」

「いやいや。」

関中王は遠慮笑う。

と!

「申し上げます!」

「!!?」

関中王はいやな予感がした!注進の者が武装していたからだ。

「何か?」

「はっ!

 大坂城が、敵の手に落ちましてございます!」

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