ジャンル実験小説(原案:蒼風雨静)

0.小説におけるジャンルについて

 以前、碧は書店で7年ほど働いていた時期があります。

 書店で働いていると、当然、お客様から本の問い合わせを受けることがあります。

 それで結構困るのが、「オススメの本を紹介して」という申し出です。

 自分が面白いと思ったものを、闇雲に紹介しても大抵首を傾げられるので、マジで困った覚えがあります。

 それで私がとったのが、お客様に好きな作家や好きなジャンルを聞いて、同じ傾向の作家の作品を紹介する、という方法です。

 例えば、ミステリーが好きだと言えば、東野圭吾先生や池井戸潤先生を推しておけばOKでしたし、ホラーなら鈴木光司先生や貴志祐介先生を推しておけば、ほぼOKでした。

 売れっ子作家の作品というのは、そういう意味で有難かったです。

 ちなみに、ライトノベルはもっと簡単で、アニメ化作品を推しておけば、とりあえず買って頂けることが多かったです。

 この方法で6割~7割のお客様には、購入して頂けたのですが、満足されたかどうかは、わかりません(笑)


 その一連の出来事で、毎回強く感じたのが、日本人のジャンル意識の強さです。

 例えば、ミステリーを読んでいる人は、ミステリー以外のジャンルをお薦めしても、まず買ってくれません。

 その他のジャンルに関しても同じで、ライトノベルを読んでいる人に一般小説を薦めても買ってくれませんし、純文学を読んでいる人にエンタメ小説を薦めても、やはり買ってくれません。

 酷いパターンだと、自分が好きなジャンル以外を見下すような人もいました。

 小説だと、ライトノベルやweb小説は、こういうパターンで見下されがちだと思います。


 また、ジャンル意識の強さは、作家側にも感じます。

 日本の小説家は、ジャンル専門の人が非常に多いです。

 多い人でも、専門は2~3ジャンルまでの人が殆どですね。

 多ジャンルを書いている方で、パッと思いつくのは宮部みゆき先生くらいですかね。

 海外だと、アイザック・アシモフ先生が、小説以外も含めデューイ十進分類法の10あるジャンルのうち、9つを制覇していることが有名ですね。

 一方、カクヨムで私がフォローしている方だと、六散人様や木山喬鳥様などが、多くのジャンルの作品を書かれています。

 それと節操なく書いているのは私達ですね。


 Google先生に、多ジャンル作家がいるかきいても、検索結果に出てこないという有様です。

 それくらい、ジャンルを限って書く・読むが、日本では当たり前となっています。

 芥川賞を獲るライトノベル作家とか、出てもいいと思うんですがねぇ。


 さて、なぜこんな前置きを書いたか、なのですが、私達蒼碧の2人は、全くジャンルにこだわらずに、何でも読むし、何でも書くからです。

 私達からすると、面白いものがあれば、どんなジャンルでも見に行くのが当たり前なのですが、これが結構、現代日本では特異なんですよね。

 小説だけでなく、映画、アニメ、漫画、ゲームなどなど、メディアも関係なく、面白いものを求めて彷徨い歩いている私達なのですが、これについては、色んな人に「すごい」と言われますね。

 すごいのでしょうか、これ?


 そんな私達なので、カクヨムで初めて小説を投稿した時、ジャンルを固定される項目があったことに、衝撃を受けました。

 多分、ここに衝撃を受けたカクヨム作家は、そうはいないと思います(笑)

 前述の通り、日本人はジャンルを意識するのが当たり前なので。

 ただ、私達は『街の本屋の泥棒猫』のように、ジャンル横断型の小説をよく書くので、これが非常に困りました。

 とりあえず、今は世界観ベースでジャンルを選んでいますが、『こちら、ぽんこつダンジョン製造所』のように、異世界ファンタジーの世界観でミステリーをしていたり、『湊火葬場雑談記』のように、ホラーベースで不謹慎な笑いを入れてみたりするので、ジャンルがいくつかミックスされているのは、今も変わりませんね。


 さて、創作界において、多大な影響力を持つ「ジャンル」ですが、執筆にあたっては、雁字搦めになるほど意識する必要はないと、私は思っています。


 自論ですが、物語に被せる布みたいなもの、というのが私のジャンルに対する感覚です。


 以前、蒼風にそれを言ったら、よくわからないと言われました(笑)

 そこで、蒼風が適当に考えたストーリーベースに、私が色々なジャンルという布をかけて、アレンジしてみせたところ、妙に納得されました。

 私が蒼風を唸らせた、非常に稀有なケースです(笑)


 これがまぁまぁ面白かったので、今回、創作論の一環として、文章化して載せてみようかと思います。

 この章では、同じストーリーラインの短編を、ジャンルだけ変えて小説化しています。

 これを読んでいる皆様も、好きなジャンル、読まないジャンルはあると思いますが、ほんの少しでも、ジャンルについて考える一助になれば幸いです。


 では、次回から1ジャンル1話で掲載していきますので、宜しくお願いします。




『街の本屋の泥棒猫』

https://kakuyomu.jp/works/16818622172095715187


『湊火葬場雑談記』

https://kakuyomu.jp/works/16818622176935832778


『こちら、ぽんこつダンジョン製造所』

https://kakuyomu.jp/works/16818792437289277647




 あっ、この内容は決して参考にしてはいけません。

 25年はデビューできなくなってしまいますよ。

 あくまで、読み物として眺めて頂ければ、幸いです。

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