第54話 ※微エロ注意

「アルカディア」


 熱い吐息が耳を撫でる。その甘さに痺れながら、俺は、俺を組み敷く男の身体を抱き寄せる。こすれ合う肌と肌は二人の汗を攪拌し、混じり合ったそれが、背中に広がるシーツをじっとりと湿らせてゆく。

 指を取られ、舌の腹でねぶられる。ただそれだけで意識は白く飛びかける。大きな手のひらでかき混ぜられる濡れた髪。重なるくちびる。もう何度目かもわからないキスに、それでもくちびるは飢えたようにむしゃぶりつく。


「お前の声」

「……俺の声が、なんだ?」

「すげぇ、好き。耳の奥がじんじんする。名前呼ばれると、すごく、気持ちいい」

「そう? ――アルカディア」

「……うん、っ」


 中を穿つ熱が、より硬くなるのを感じる。もしくは俺の方が、声に応じてこいつを締めつけるのかもしれない。

 あるいはもう、どっちが、なんて考え自体が無駄なのかも。

 俺もウェリナも、お互いを必要としていて、だから求め合い、与え合う。それを俺は良しとし、ウェリナも望んでいるのだろう。

 それだけでいい。

 ほかには何もいらない。王座も、異世界の知識や記憶も、もう何も。

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