第54話 ※微エロ注意
「アルカディア」
熱い吐息が耳を撫でる。その甘さに痺れながら、俺は、俺を組み敷く男の身体を抱き寄せる。こすれ合う肌と肌は二人の汗を攪拌し、混じり合ったそれが、背中に広がるシーツをじっとりと湿らせてゆく。
指を取られ、舌の腹でねぶられる。ただそれだけで意識は白く飛びかける。大きな手のひらでかき混ぜられる濡れた髪。重なるくちびる。もう何度目かもわからないキスに、それでもくちびるは飢えたようにむしゃぶりつく。
「お前の声」
「……俺の声が、なんだ?」
「すげぇ、好き。耳の奥がじんじんする。名前呼ばれると、すごく、気持ちいい」
「そう? ――アルカディア」
「……うん、っ」
中を穿つ熱が、より硬くなるのを感じる。もしくは俺の方が、声に応じてこいつを締めつけるのかもしれない。
あるいはもう、どっちが、なんて考え自体が無駄なのかも。
俺もウェリナも、お互いを必要としていて、だから求め合い、与え合う。それを俺は良しとし、ウェリナも望んでいるのだろう。
それだけでいい。
ほかには何もいらない。王座も、異世界の知識や記憶も、もう何も。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます