第4話
勢いだった。
「ねぇ、憂太?緊張してるの…?」
尋ねてる私の方が…きっとドキドキしてる。
心臓がバクバク言ってて、今にもおかしくなってしまいそうで…
「えっと…そりゃあ…はい…」
恥ずかしそうに俯きながら…そう答えてくれた年下の男の子に…
「アハハッ、私に任せておけば大丈夫だよー」
そう言った。
大丈夫、私はヤリマンビッチだから。
「先輩…」
「真夜でしょ?じゃあ…脱がしてあげるねー」
そう言って…
憂太のシャツのボタンに手を伸ばして…
指先が震える。
「真夜…先輩…無理しないでください…」
憂太に突然抱き締められた。
「なっ…なに…?アハハッ…無理なんかしてないって…」
「先輩…いい匂いがします…」
「アハハッ…いつもと変わんないよー。制汗スプレーの匂いじゃない?」
身体が熱い。
「先輩の身体…柔らかくって・・・
ーーーーーーーーーーーーー震えてる…」
年下のクセに…
「アハハッ…なーに言ってんの。」
身体が密着して…自分の気持ちが全部伝わってしまいそうで怖い…
「きっと…こうしているだけで…浮気になっちゃいます…」
その言葉の意味は…
私が思っているのと同じなのかな。
「アハハッ…こんなん…ただの…ハグじゃん?キミは堅いなー。」
そう言って…
ドキドキしながら、憂太の次の言葉を待つ。
「違いますよ…」
欲しい言葉を少しだけ…はぐらかされる。
殆ど言ってるようなモノなのに…
ちゃんと聞きたい。
「何が…違うの…?」
「口に出したら…本気になっちゃいます…」
ああ…可愛いな。
「…何それ…キミ、女の子みたい…」
「僕は…男です。」
「なら…ちゃんと言って。」
ドキドキして…思わず…右耳を触ってしまう。
キミが、誕生日にくれた.蛇のピアスを付けてる右耳。
不安な時、
それを触るのが癖になってしまっていた。
「・・・やっぱり…
これ以上は止めておきましましょう、先輩。」
胸がズキっと痛んだ。
「ーーーヤダ…」
頬を掴んで、初めて自分からキスをした。
「「んっ…」」
重ねた唇の隙間から…2人同時に声が洩れた。
チロチロと憂太の唇を舐めると…固く閉じられた唇が少しだけ開いた。
そこから…自分の舌を滑り込ませて…
憂太がくれたピアスの蛇みたいに…
怯えてる憂太の舌に自分の舌を絡ませて…
それから…唇を離して…
「憂太は…ヤリマンビッチ先輩に喰われちゃうんだよ?だから…浮気じゃないから。」
そう口にした瞬間…
憂太に優しく押し倒された。
「真夜…先輩…好きです。」
「ーーーバカ…」
心臓がドクンッっと鳴って…
頬が火照ってしまったのが分かった。
初めて…親以外の人間に…
心を触れてもらった気がした。
私はヤリマンビッチだけど…
ヤリマンビッチじゃないんだよって
それは口に出せないから。
あの夏以来…誰にも触れさせなかった身体。
それを伝えたくて…
「優しくして…?」
そう口にして…
「ーーーはい。」
彼は優しく微笑んでくれた。
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