第15話――米畑霊、死す。(※死にません)

「な、なんで悪霊!意味分かんないよ!」

「まぁまぁ後で説明するから……とりあえず行こうぜ!」

 花は私の手を掴み、ドアを思いっきり開けた。


そして、走り出すのかと思えば……

「久しぶりに飛ぶぜぇ!」

 

すごいスピードで飛んだ。もちろん私も。って

高いとこ怖いんだけど!腕痛いし…落ちたらどうしてくれんの!?


「ちょっとちょっと!なんなの!」

 私が叫んでも花は止まらず、快調にスピードを上げていく。

 帰ってきてすぐこれは…ちょっとおかしいと思うんだけどなぁ。


「高いのがイヤなのか?だったら低く飛ぶか…」

 ほんとうに!低してくれるの。これで、少しは安心できるや。

でも…


「みてみて!ママ。お姉ちゃんが飛んでる!」

「な、なんだあれ」

「飛んでるわよ…」

「米畑さん!?なんで飛んでるんですか?とりあえず…パシャ」


 街の人にめちゃくちゃ見られてしまった……。それに、文太郎の声も聞こえたし。写真撮ってたし!


それに、みんな霊感が無いから、花の事が見えないんだ!ってことは…


私…一人で飛んでる変人じゃん!どうしよぉ。

これこそ、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。


「花!上に戻して!めっちゃ見られてる!」

 私がそう叫ぶと、花は今更だが気づいたようだ。すぐに上空へ上がり私に謝ってきた。

反省してるなら全然いいけど……って。


「なんで悪霊狩り?そもそも私を連れてく理由なんてどこにあるんだよ!」

「あぁ、それなぁ。

お前って霊にモテモテだろ。だから、どんな弱い幽霊も強い悪霊をも引きつけるんだ。

でもな、私はお前と逆で幽霊達に嫌われている。私は強すぎるからなぁ…

怖くて近づけねえんだ」

 自慢げに話す花を私は見つめた。

確かに、私を襲おうとしたこのあいだのおじさんも、花の事知ってたし…。えっ…でも、この流れだと…


「だから、私が悪霊の住処に近づくと、隠れちまうんだ。それか、逃げるかだな。これじゃ、悪霊退治にはならないだろ?

今まで対策を考えてきたが…お前がいればすごく簡単だぁ。


そう、お前がおとりになればいいんだ」


 そう来ると思ってましたよ…。いやっ、どうせあなたが考えることですからそんなことだろうと思ってましたよぉ。

 でも、すごく嫌だな。ただでさえすごく霊が嫌いなのに…悪霊がいるところでおとりになるんでしょ?

「危なくない…?」

「いやいや、私がいるから大丈夫だ。私に任せとけって」

 そう言われても…。あっ、そうだ。


「ねぇ花。実はね」

 私は移動中に今日の出来事を話した。

「なるほどな…。

んじゃ、今日行く悪霊と話でもしてきたらどうだ?仲良くなったら写真でも撮ればいいんじゃね?」

花は意地悪そうに私に笑いかけた。

 冗談交じりで言っているのだろうか。でもこれが本気だったら…。怖っ。


 そうするうちに目的にに着いた。花はスピードを落とし私を地面に落とす。

あぁ…なんて素敵なんだ。こんなに地面が尊いものだなんて…。

 私は地面を撫でていたが…次の瞬間、背中が凍りつく。

「なんなの、この雰囲気」

「まぁ悪霊の住処だからなぁ。心霊スポットつうか…」

 そこはとても暗い雰囲気のトンネルだった。奥から冷たい風が吹き、私の身体にあたる。

 中に入ったら、絶対生きては帰れなそうだ…。



「うん、じゃ入ろうぜ!」

「無理ですぅ〜、帰りますぅ〜、嫌ですぅ〜」


 いやっ、怖えーよ。そんな軽めに行かないでよ!

確かに花は強いから大丈夫なのかもだけど…


「何でもいいから入るぞ!」

 私は手を掴まれ、そのまま暗闇の中へと連れて行かれた。

 ほんとうに無理なんだけど…。この雰囲気、温度、湿度、匂い、見た目、すべてが嫌。

 なんでこんな事に……。

「大体ここらの悪霊なんてみんな弱っちーんだ。お前を狙っておびき寄せて…この鎌で一発だ」

「いやいや、私が死んだらどうすんの!?」

「それは、私と同じく霊になるんじゃね?

おお!仲間だ仲間!どっちにしろお前の名前『霊』なんだし、そんな変わんねぇよ」


 あの、幽霊と人間では全然違うんですけど。まぁいいや。


 私達が暗い中をゆっくりと歩いていると、目の前から足音が聞こえた。

 霊感持ってる私なら分かる。これは、悪霊だ。


ってことで…

「逃げまーす!」

 いやっ、無理です。何回も言いますけど無理です。

ほんとに死ぬほど怖いし、やっぱり自分の命優先したほうがいいしね。

 そうして、私が猛ダッシュで逃げようとした時。


「逃げろ!」


 花がいきなりそう叫んだのだ。

不思議だな…花だったら「逃げるんじゃねぇ」とか言い出すのかと思ってたけど。

「花、いきなりどうし……」


 後ろを振り向くと、動きを封じられた花がいた。

ピクリとも動かず、ただ私に逃げろと叫んでる。

「ごめん、霊ちゃん。私がナメてた…。

こいつ、私がいない間にチョーレベルアップしやがったぜぇ」

 花の口調はいつもより焦り気味だ。これは…かなりやばい状況かも知れない。

 そして、〝それ〟はゆっくりと私たちに近づいてくる。

でも、花をスルーした?と言うことは…もしかして狙われてるのは私?


 嘘でしょ、私死ぬの…?

悪霊が私に近づいてきた。手を伸ばして私に触れようとしている。

 どうしよどうしよ!絶対絶命なんですけど!

こんなことなら、彼氏の一人は欲しかったぁ!!


 心の中で叫んだ時。今日言っていた巫女さんの言葉が脳裏をよぎった。


そうか…そうか!

一か八か、やってみるしかない。ダメ元でやってみる価値はある!



何かひらめいた米畑霊。果たして彼女の運命は良い方向に転がるのだろうか…それとも…。


次回。米畑 霊死す!(2回目)

お楽しみに。



 ちょっと待って…私の事、殺さんといて!皆さん安心してください。私は死にません!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る