第9話 信頼という木

信頼という木


その木は成長が遅いのだと人は言う

育ちのはやい木は

内部に虚を抱いて脆いのだと言う


その木は容易く枯れるのだと人は言う

しっかり根を張った木も

周囲の風や寒さで枯れるのだと言う


春には花を

夏には木陰を

秋には実りを

冬には風除けを

そして何より、いつでも揺るがぬ幹を


その木はいつでも傍にあるのに

だからこそ人は

その木の世話を忘れてしまうのだろうか?


私は木を植える

償いでも、祈りでもいい

沢山の木を植える

リンゴでもオリーブでもいい

毎日、木を植える

たとえ明日世界が終わるとしても


ひとつの実りが、

ひとつの芽生えが、

次の世界に繋がると信じるから

(2025.10.19雨)

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