第1話 プロローグ
学校が終わり、放課後の時間。私は親友と共にカラオケにいた。
まあ、私はお手洗いの部屋で、手を拭いている所だけど。
私しか写っていない鏡を見る。うん、アホ毛はないね。よかった。
アホ毛チェックを終わらせた後、部屋に帰って店員さんに飲み物を頼む。
「ご注文はどうされますか?」
「私は、抹茶ラテでお願いします」
「分かりました。では、そちらの方は?」
「じゃあ、私はハチミツレモンでおなしゃす」
「分かりました。では、ごゆっくり」
「どうも〜」
パタン、と扉が閉まる。
よし、これで思う存分歌えるけど・・・店員さんが来たら、ちょっと恥ずかしいし、歌だけ決めて待っておくか。
候補は・・・そうだな、『蝶の唄』とか、『鬼に植物』『狂禍』、それに『妖精の宴』もある。
どうしようかと迷っていると、思ったよりも早く飲み物が来た。
「
「はい、これで全部です。ありがとうございます」
「それでは、何かあればお申し付けください。ごゆっくり」
「あざーっす」
パタン、と扉が(以下略)。
よし、店員さんも去って、もう来ないはずだし、歌いますか!
ということで、何歌おうかな。うーん、まずは澪に聞いてみよう。
「澪、何歌う?」
「うーん、『雪の声』かなぁ」
あ〜、『雪の声』か。あれ、ソプラノと囁きボイスの切り替えが難しいんだよね。でも、澪は得意なんだっけ。
「私は・・・そうだな、『妖精の宴』にするよ」
「オッケー!入力してと。よーし、頑張るぞ!」
おお〜!頑張れ。サビの部分、間違えないようにね。
「わかった!スゥ・・・雪が降り積もる森から〜、美しい歌声を〜♪」
上手だね。次は囁きボイスだよ。
「うん!・・・羽ばたく〜翼、光に向かって〜♪」
よし、完璧! などと思っていた私はのちに思う事になる。なんて呑気なんだ、と。
「出来た!って、ええ!?床が光ってる⁉︎」
そう、澪の言うとおり、床に魔法陣のようなものが現れて、突如光り出したのだ。
「ひっ、逃げよう!中二病の変なやつが仕掛けたかもしれない!」
「んなわけあるかぁ‼︎」
スパコーン、と良い音が鳴る。私が使ったのは、代々伝わる万能ハリセン・凛麗扇(りんれいせん)である。なんでハリセンが代々伝わってるかというと、朝霧家は女性がツッコミまくるからである。理由はヘンテコだけど、使う時が多いから愛用してたりもする。
じゃなくて、中二病のやつはそんなに器用ではない。逃げようとも、部屋全体に魔法陣的なやつが広がっている。外に出たら変人扱いされそうだし、逃げるのはオススメしない。
澪に警告のようなものをしていると、突然、足元の魔法陣もどきがさらに大きく光り始めた。
最初はうっすらだった光が、だんだんと強くなり ——その眩しさに思わず目を細める。
「な、なにこれ!? もしかしてこれ、本物⁉やばい、さっきのやつ、早く捨てときゃ良かった‼︎」
澪が怪しいことを言った次の瞬間、視界が白一色に染まった。そして、光がふっと消えたとき。
私たちは、そこにいた。
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