第24話深夜の襲撃

深夜、魔王とその一行の寝室の扉がゆっくりと開く。

暗がりの中それは部屋へと入り、またゆっくりとドアを閉める。

寝室に入り、魔王の居場所を探す。

顔を見て寝ていることを確認。

右手を振り上げ魔力を込める。

そしてその手を魔王の顔に思いっきり振り下ろ…


「魔王様!!」


ハルが魔王を抱え込んで即座に移動し攻撃を避けた。

直後、ズドオォーン!!というとんでもなく大きな音がした。

「な、なに!?何事!?」

抱え込まれた衝撃と音で目が覚める。

「はぇ…?なんですか?」

アーサーも寝ぼけているが起きたようだ。

「ぐっ…!敵襲です!何者かが魔王様を攻撃しました!」

見ると寝ていたベッドが真っ二つに割れ、床まで抜けている。

「えぇ!?これ…床まで!」

そしてそれはゆっくりとこちらを見た。

暗くてよく見えない。

こちらに向かって素手で攻撃を仕掛けてくる。

「やば!シールド!」

拳に対して斜めにシールドを張り、拳の攻撃を受け止める。

しかし2秒程度しか持たず、壊されて顔の横を拳がかすめた。

後ろは壁。

ドゴオォォォン!!というとんでもない轟音。

ベッドと床に穴をあけた時とは比較にならない大穴が開いた。

「くぅ…!!アーサーちゃん!」

逃げるようにアーサーのもとへとたどり着く。


壁に大穴が開いたことで月明かりの光が入ってきた。

そしてゆっくりと顔が照らされて正体を現わす。


「王様…?」


そう、つい数時間前に同盟を組もうと提案してきた王様だった。

「なぜあなたが…どうして…?」


「グ…ギギ…魔王…コロす…」

目が血走っている、何かがおかしい。


「なんださっきの音は!?」

「この場所だ!」

ガシャガシャと騎士団の人達がこちらに向かってきたようだ。

そしてドアを開け、部屋へ入ってくる。

「王!?それに魔王まで!この有様は一体!?」


アーサーが前に出る。

「騎士団さん!あの…」

「こやつらは国に仇なす不届き者だ!やつらをとらえよ!」

「な!?」

私たちも騎士団もうろたえている。

「我が忠義を見せよ!国の敵を前に恐れをなすな!」

「は…はっ!!」

そして私たち3人を囲んでいく。

ハルも私たち2人の前に出て守ろうとするが、息が浅く、汗もかなりかいている。

腕から血が出ていた。

「ハルさん、その血…」

「大丈夫…です」

王様を見る。

「王様!一体どういうこと!?」

「ワルクを殺した恨み、死んで償え」

殺した?何を言っているんだろう?

話が通じない。


「魔王さん!…これはいったい!?」

ニチレンが部屋に入ってきた。

騒ぎを聞いて飛んできたのだろう。

「貴様も手伝え!不届き者を排除するのだ!」

「王様…どういうことですか?」

困惑している。

「私たちもわからない、急に襲ってきて!」

「口答えをするな!」

騎士団の一人が私たちに剣を振り下ろす。

やば!間に合わない!


「シールド、セット」

ニチレンがそうつぶやくと私たちの周りにシールドが張られ、剣が弾かれた。


「ニチレン殿!?王の命令ですよ!?」

しかしニチレンはまっすぐとこっちを見ている。

「魔王さん!逃げてください!」

そして懐から何かを取り出した。

それを床に思いっきり投げる。

ボフッ!

という音がして部屋中に煙が蔓延する。

煙玉って…なんで持ってるの!?忍者!?

「ぐっ…」

ハルが腕を抑えて倒れる。

やば、そんなこと思ってる場合じゃなかった!

「アーサーちゃん!」

「こっちです!」

アーサーを先頭にハルを担いでさっきできた壁の大穴から飛び出した。

「ゴホッ!ゴホッ!逃がすな!追え!」

王様の声が聞こえるが煙の量がすごく場所の把握ができないようだ。


何とかその場を逃げ切った。

そして私たちは国のお尋ね者となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る