君と私
ユタユタ
第1話 君と私
私の名前は桜場陽菜、神奈川でOL兼フリーの小説家として働く22歳。
私はいつも仕事で失敗して落ち込みながら帰っている。
「なんで私ってこうも失敗ばかりなんだろう…今日なんて会議のお茶出しでお茶をこぼして上司にかかっちゃうし。これで終わればよかったのにな。そのあとは書類を倒して上司に怒られるし、何なんだろう」
ライターの仕事はうまくいっているのに本業の方がうまくいかない。そんな事をつぶやきながら自宅への帰路につく。
私が家に帰るころには7時を過ぎる。そこからお風呂に入りごはんを食べ次は小説家としての仕事をする。毎日毎日締め切りギリギリでヘトヘトになりながら書き上げる。そんな自分に嫌気がさしている自分もいた。そんなある日。
6月15日天気は雨、傘に雫が当たる音が私は好きだ。
いつもは電車で帰る陽菜だが、いつもと同じ道を帰るのは飽きたので河川敷の横を通って帰ることにした。その選択が彼女の未来を変えることになるとは知る由もない。
河川敷沿いを歩いてどれぐらいたったかわからないが橋が見えてきた。すると橋脚の影から何かが鳴いている声が聞こえてきた。気になって降りてみた。
そこには、まだまだ幼い犬がいた。かわいそうと思ってはみてがすぐ離れた。それはその犬がかわいくて仕方なかったからだ。
昔の自分は幼稚園の頃、親に捨てられて高校卒業まで施設で育った。
ある日忘れもしないあの日パパとママがスーツケースをもってどこか行こうとしていた。その時私は聞いた
「ママパパ、どこに行くの?」
すると、ママはどこか寂し気な顔をしてこう言った。
「ママとパパは遠いところに行くんだ…バイバイ、元気でね」
そうあの日、ママとパパは私の前からいなくなった。
生活していると冷蔵庫のものは尽きて、まだ幼かった私は料理なんかできないから次第に瘦せ細ってしまった。1週間ほどして、冷蔵庫の物もなくなり私は倒れてしまった。
そこから必死にバイトを掛け持ちしながら田舎から神奈川に出てきた。なんで神奈川に出てきたのかって聞かれるとわからないが、とりあえず都会に出たかった。いや、あの田舎から出たかっただけかもしれない。そんなことを考えていた。気づいたら私はさっきのところへ走り出していた。磁石のような何かが引っ張るような感覚があった。
頭の中ではもうあの子のこと以外考えれなくなっていた。傘が邪魔で傘をたたんで走ったビショビショになりながら走った。早くあの子を助けたくて。急いで橋脚を降りた。するとまだそこにはあの子の姿があった。内心ほっとした。
「ごめんね、すぐに助けてあげれなくて。」
すると「くーん」と言ってすり寄ってきた。私は許してもらえた気がした。
その子を段ボールごと抱えてコンビニによってすぐ家に帰った。帰ってすぐにお風呂に入れた。するとすごく汚れが落ちてタオルで吹けばすごくきれいな毛並みだった。心なしかすごくうれしそうだった。明日は運よく休みだ、明日動物病院に行ったりこの子に必要なものを買いに行こう。そしてこの日は眠りについた。自分のごはんなんて忘れてきれいになったあの子と疲れて寝てしまった。
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