序章 05
「そ。人間界は【
人が聞いたら、頭に『?』マークが浮かぶところだが、人として人間界に来ていないメグルは、この世の成り立ちはあらかた理解していた。
まだ全ての魂が
永い戦いの末に勝利した革命軍は、体制側として戦った者たちを
その後、全ての魂たちが
いわゆる【
【
人間界は六道にあり、魔界側勢力の最前線。
故に『善』と『悪』との境界線――。
そこにいる魂は『善』に生きることも『悪』に染まることも本人次第、まさに『善』と『悪』とが
「光り輝く魂……。闇に染まりゆく魂……。このドラマチックな人間界を、いつまでも観察していたいのだ……」
男は垂れ目を、さらにだらしなく垂らして、
しかしメグルの
「おいらは
メグルはくせっ毛頭の前髪を、くるくると人差し指に絡ませながら考えた。
(面倒くさい管理人の仕事などさっさと済ませて、人間界のひとつ上の世界『天界』へ行きたいと思っていたところだ。この男と組めば効率よく仕事が進むかも知れない。いざとなったら利用して、使えない男だとわかったら
「仕方ない。まぁ、いいでしょう」
ずる賢い考えに頬が緩むのを必死に
「よし決まった! じゃあ、おいらの名刺を渡しとくからよ」
男は胸ポケットからよれよれの名刺を一枚取り出し、メグルに渡した。
「カンノ ドリュウってんだ。いい名前だろ? 昔、世話になった管理人がつけてくれた名前でな」
なるほどと、メグルは思った。
確かに名刺には『菅野 土竜』と書いてある。
が、土竜と書いてモグラと読むことを、この男は知らないのだろう。
改めて見ると、まさに男の顔はモグラにそっくりなのだ。
「裏に住所が書いてあるからよ。困ったことがあったらいつでも訪ねてきな!」
モグラはそう言い残すと、非常階段をするすると滑るように下りて、あっというまに繁華街のネオンのなかに消えていった。
「見るからに怪しいやつ……」
モグラの姿が完全に消えるのを見届けてから、メグルは
「ぼくみたいなエリートが、あんな怪しげな男と協力するだなんて、絶対にありえないけどね!」
その怪しげな男とふたり、天魔との永く険しい戦いの道を歩むことになるなど、このときのメグルには、まだ知る由もなかった。
〜〜〜 この物語の世界〜〜〜
◆十層界◆
『真如界』四聖(精神世界)
『菩薩界』↓
『独覚界』
『羅漢界』
『天 界』六道(物質世界)
『人間界』↓
『修羅界』
『畜生界』
『餓鬼界』
『地獄界』
____________
◆魔 界◆
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