第24話 ローズマフィン


 ある日のこと、ギフト君が魔法の森をお散歩している時でした。


 のどがかわいたので『最寄りの湧き水』を飲みに来たのですが、その側に耳長うさぎのモックンが倒れていました。


「どうしたのモックン!?」


「甘いものが食べたいよう・・・」


「ちょっと待っててね。探して来るからっ」


 ギフト君はあたりをキョロキョロ見渡すと、湧き水の近くにスウィーティーを発見しました。スウィーティーとは、色も味もそれぞれ群生するグミみたいな魔法の森の甘いカラフルキノコです。



「なに・・・なんで?グミが都合よくみたいにはえているの?」


「いいから食べて」


「大丈夫なの?」


「なんとこと言っているのかよく分からないけど・・・ここ、魔法の森!」


「うん。ひっこして来たばかりだから・・・こっちもよく分からない」


「お水と一緒に食べたほうがいいかもね」


 ギフト君は湧き水をカップが作れる葉っぱに汲んで、モックンに飲ませてあげました。



「お礼をするよ・・・うちにおいでよ」



 豪華なお屋敷の庭で、もてなされたギフト君。


「このジャムは新しいね。何でできているの?」


「うそでしょ!?バラのジャムを知らないはずないもんねっ」


「バラって・・・このお庭に咲いているお花だよね?初めて見た!!」


「新しいもの探してたら、見つかったかもしれないっ」


 モックンは喜びいきごんで立ち上がりました。


「いいこと思いついたの?」


「とってもいいこと!!よいこと!!」






 次の日・・・


 ギフト君の家に、モックンのじぃである口ひげのあるクマのぬいぐるみのセバスが、お菓子を届けに来てくれました。



「バラのジャムで作った、マフィンでございます。立体的なかざりはプレスです」


「お礼に何か・・・えーっと・・・」


「いえいえ、いいのでございます。それでは失礼いたします」



 ギフト君はセバスを見送り、そのあとムルムルと一緒にマフィンを楽しみましたとさ。



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