人が星を見るとき、星もまた人を見ている

 『エピタフコード』――このタイトルだけで、なにか深い闇に指先を触れたような背筋のざわめきを感じました。

 物語の入口は現代のネットミステリー、でもその奥には“観測者の孤独”や“科学の傲慢”といった静かな問いかけが潜んでいる。NASAやFBIのリアルな攻防、謎のハッカー集団“Epitaph”、20年前に封印された計画……現実と虚構の境界がじわじわと溶け合い、ページをめくるごとに自分も“観測される側”に立たされていくような感覚に陥ります。

 誰が、何のために「記録」を残すのか?

 星に魅入られた者たちの絶望と救済、そして“理性では届かない直感”が、世界を変えていく。SF好きにもサスペンス好きにも刺さる、深い読後感のある一冊です。

 「科学」と「信仰」の狭間で、人類がどこまで踏み込めるのか――読後、夜空を見る目が少し変わるはずです。