第三章:罠の奥の真実

 リョウのクリスタルは、ダンジョンの鼓動と共鳴していた。エマの言葉が本当なら、ギルドの次の攻撃は三日後。彼女が語った「秘密の武器」は、リョウの頭脳をフル回転させた。ガルドが持つとされる「コア破壊の魔道具」。それが本物なら、リョウの存在そのものが危険に晒される。「信用するな」とトラウマが囁くが、エマの情報は無視するにはあまりにも具体的だった。


「ゴロウ、準備を加速しろ。新しい罠だ。」リョウは意識をダンジョンに広げ、迷路を再構築した。通路はさらに複雑に、幻影はより狡猾に。新しいモンスターも生み出した――影に溶ける「シャドウ・ストーカー」。ゴロウは鼻で笑った。「ボス、派手だな! これで冒険者のパンツ濡らすぜ!」リョウはゴロウの軽口に苦笑したが、その存在が彼の心を軽くしていた。


 エマは仮の安全地帯――リョウが用意した小さな部屋――に留まり、監視下にあった。「ギルドはダンジョンを資源としか見てない」と彼女は言った。「でも、私には関係ない。私は…自由になりたいだけ。」彼女の声には、過去の重みが滲んでいた。リョウは尋ねた。「自由? ギルドを裏切る理由はそれだけか?」エマは目を逸らし、答えた。「昔、あるダンジョンで…仲間を失った。ギルドはそれを隠蔽したの。」彼女の言葉は本当のようだったが、リョウの分析脳は「何か隠してる」と警告した。


 その夜、ダンジョンが揺れた。別のダンジョンコアからの攻撃だ。黒い霧が通路を這い、リョウの領域に侵入してきた。霧から現れたのは、骨と鋼でできた巨大な獣だった。「新参者、貴様のエネルギーは我がものだ!」冷たいテレパシーが響く。ゴロウとシャドウ・ストーカーが応戦し、獣を追い詰めたが、リョウのコアは限界まで酷使されていた。「くそっ、冒険者どころかコア同士の戦争までか…!」


 戦闘の後、エマが部屋から出てきた。「リョウ、聞いて。ギルドの攻撃、明日かもしれない。私、情報を少し…間違えたかも。」彼女の顔は青ざめていた。リョウの意識が凍りついた。間違えた? 故意か? 彼女の瞳には恐怖と決意が混在していた。「信じて、私には理由があるの。」


 ダンジョンの入り口で、松明の光が無数に揺らめいた。ガルドの声が響く。「ダンジョンコア、今夜お前の終わりだ!」エマはリョウを見た。「一つ、教え忘れてた。ガルドの魔道具…それは私を追跡できるの。」


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