俺の完璧な「ぼっち生活」を、クラス一の陽キャ美少女が「推し活」でぶっ壊してくる件
@amakaze28
第1話 平和な孤独の終わり
俺、篠宮悠太は、高校生活において「パーフェクト・ボッチ」であることを信条としている。
成績は上位、ルックスはそこそこ、運動神経も平均。目立つ要素は一切排除し、常に教室の隅で透明人間のように振る舞う。休み時間は読書か、推しのVtuberのアーカイブ視聴。誰にも話しかけられない、至高の平和。
「今日も完璧だ」
放課後、俺は人波から静かにフェードアウトし、誰もいない教室で、ヘッドホンを装着した。画面には、俺の唯一の心の支え、伝説的な人気を誇るVtuber『白雪ノエル』のチャンネルが開かれている。ノエルは、銀髪ロングの清楚系で、時折見せるゲーム中の毒舌が最高なのだ。
まさに至福の瞬間──のはずだった。
ガタン!
突然、俺の机の横に誰かが座る。クラスの誰もが視線を集中する、「教室の太陽」こと、相沢美月だった。
長い栗色の髪に、吸い込まれそうな大きな瞳。彼女は、明るい笑顔とコミュ力の高さでクラスの中心にいる、俺とは完全に世界の住人が違う女子だ。なぜ、この孤独の聖域に……?
「あ、篠宮くん、いたいた!やっと見つけた!」
彼女は息を切らしながら、満面の笑みで俺に話しかけてきた。心臓が一瞬止まる。俺はヘッドホンを外し、警戒MAXで尋ねる。
「…何用だ、相沢。俺に話しかけると、お前の陽キャポイントが下がるぞ」
「そんなの気にしないって!」
美月はそう言って、自分のカバンから光沢のあるクリアファイルを取り出した。中には、白雪ノエルのイラストが描かれた、非売品の特典グッズが入っている。
「ねぇ、これ見て!このノエルちゃんの限定ボイスCD、ヤバくない!? このフリルの細かさ、神絵師だよね!篠宮くんもノエルちゃん推しなんだってね!」
俺は完全に思考が停止した。
なぜ、クラス一のリア充美少女が、俺の隠された趣味を知っている?そして、なぜこんなに興奮して、俺の推しについて語りかけてくるんだ!?
「…なぜ、それを…」
美月は、俺の推し活グッズが詰め込まれたペンケースを指さし、ニヤリと笑った。
「ふふん。私もね、超・ノエル推しなんだよ!でも、学校で語れる人がいなくて寂しかったの。今日から篠宮くんは、私の『ノエル推し活パートナー』ね!」
こうして、俺の完璧な「ぼっち生活」は、クラス一の陽キャ美少女による熱烈すぎる『推し活』によって、一瞬で崩壊したのだった。
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