第6話 性的マイノリティが集う寺

 わたしがヤリツィンとの行為を仔細に話し終えると、ラブは氷をたっぷり浮かべたミルクがうすくなるのを待ち、ようやく口を付け、マスカラでぴんと張ったまつげが影をつくるぐらい、目を伏せて、

「そうか」

 とだけ、つぶやいた。

 そのどうでもよさそうじゃない、自分のことみたいな、くちびるを縁取るしろいひげで、わたしは無性に、ゆるされたくなった。

 同意が欲しかったのだ。わたしがそうであるということを、恋人に、ラブに、認めてほしかった。それを恃(たの)むために、わたしとラブは割り切れるぐらいイーブンだったし、手くせのわるいラブは一度決めたことをかんたんに反故にするだろうことも知ってる。ほんとうの同意なんて、ひとつ屋根のした手を出さない男の子ぐらい、ありえない。だからわたしはうそっこの同意を、まだもらってない左手の薬指のリングの代わり、ラブと交わしたかった。

「あした、時間ある?」

 ラブがやっとわたしの目を見てくれて、そう言った。こうしてバイト以外で誘ってもらうのは初めてで、うれしかった。いつもより化粧が薄いぶん、ほそくなった目のまわりのピンクの腫れが目立ち、そのぶん、かえりみちのないまま雨に濡れる猫みたいに、かわいかった。

「この町には、性犯罪に苦しむひととか性的マイノリティのひとが集うお寺があるの。あたしのすごく大切な場所。だから、ピースをそこに連れていきたい」

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