第13話 勇者教、誕生!?

朝。

目を覚ますと、玄関の前に人だかりができていた。


「リク様ぁぁぁ!! 朝のツッコミをお願いします!!」


「なんの儀式!?」


村人たちは正座してこちらを見上げている。

中にはスーツ姿の奴までいる。誰だお前。


「い、いや、なんだこれ……」


アリシアが嬉しそうに微笑む。

「リクさん、知らないんですか? 昨夜の祭りで“奇跡の男”として崇拝されてますよ!」


「奇跡という名の爆発事故だよ!!!」



ルルが冷静に説明する。

「昨晩の神輿事件で、村人たちの間に“理不尽を正す聖人”の噂が広まったんだよ」


「聖人!? 俺そんな聖属性あった!?」


「いや、“ツッコミ属性”だね」


「それは宗教じゃなくて漫才だろ!!!」



村人代表の老人が立ち上がる。

「リク様! あなたのツッコミで、我らの畑は豊かに、家は修復され、

 風呂は爆発しても翌日には直っておりました!」


「それただのバグ修正の副作用!!!」


「どうか、この村を導いてください! ツッコミの道を!!」


「宗教的に言うな!!!」



◆ ツッコミ教団、爆誕


気づけば村の広場には祭壇ができていた。

中央には俺の似顔絵――いや、怒鳴ってる顔の石像が。


「……なんで俺、こんなにキレ顔なんだよ」


アリシアが神妙な顔で言う。

「リクさんが“理不尽訂正”を使うときの顔です。威厳があります!」


「威厳っていうか苦情だよ!!!」


ルルがニヤニヤ笑いながら旗を指さす。

「見て、“ツッコミ is Justice”って書いてある」


「英語表記やめろぉぉぉ!!!」



神殿(という名の屋台改造建物)の中。

村人たちが揃って唱和していた。


「ツッコミあれば道開ける! ボケあれば救われる!」

「Amen(アーメン)! ……じゃなくて“Ah-Men”!」


「発音ノリで変えるなぁぁぁ!!!」


アリシアは嬉しそうに手を合わせていた。

「素敵ですね……! リクさんの存在が、皆さんの心を照らしてます!」


「照らしてるの俺の怒鳴り声だから!!!」



そのとき――空が光った。


『リ〜クぅ〜♡ 見てるわよ〜♡』


「おい女神! お前の仕業だろこれ!!」


『うふふ、だって面白いんだもの! “宗教展開”は異世界コメディの定番でしょ?』


「メタい発言やめろ!!!」


ルルが頬杖をついて言った。

「まぁ、女神にしては良い広報戦略だよ。信者が増えれば世界が安定する」


「ツッコミが宗教で世界安定とか聞いたことねぇよ!!!」



村人A:「リク様! 本日のツッコミ教義を!」

村人B:「“お約束を破る者には制裁を”と教わりました!」

村人C:「“常識を捨てる者、救われぬ”です!」


「勝手に経典作んなぁぁぁ!!!」


アリシア:「リクさん、署名入りで頒布されてますよ!」


「どこの同人誌ノリだよ!!」



混乱する俺をよそに、村人たちは祭壇の前で行進を始めた。

「ツッコミの勇者に栄光あれー!」

「理不尽、撲滅ー!」


……気づけば俺の名前が“リク=ツッコミ様”になっていた。


「苗字みたいにすんな!!!」


ルル:「もうあれだね、リク。君、完全にこの世界の“常識担当の神”になってる」


「断るっ!! 俺、神になんてなりたくねぇ!!」


女神の声がまた響いた。

『じゃあツッコミ神代理ってことで♡』


「代理制度あるのかよぉぉぉ!!!」



夕方。

村の広場には“ツッコミ講座”が開かれていた。

アリシアが壇上に立ち、村人に向けて叫ぶ。


「ツッコミは愛です! 暴力ではありません!」


「どこで講義してんの!?!?」


アリシア:「リクさんが“バカか!”って言うと、みんな笑顔になるじゃないですか!」


「それ俺の心が削れてるだけ!!!」



そんな中――空に光の文字が浮かぶ。


【勇者ツッコミ教、王都進出決定】


「はぁぁぁ!?!?!?」


ルルがニヤニヤ。

「ほら、宗教って拡散力あるからね」


「SNS感覚で布教すんなぁぁぁ!!!」


アリシア:「あっ、リクさん! 祝賀パレードの申請出しておきました!」


「行動力の化け物かお前はぁぁぁ!!!」



次回予告:

第14話「女神からの通話、ノイズ入り」

ツッコミ教の拡大を見た女神、ついに“直接通話”してくる!?

しかし通信環境が最悪で、神の声がなぜかバグる! 世界に異変の兆し――!

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