第12話 村祭りと爆発する神輿

「リクさーん! お祭りですよおおお!!」


朝っぱらから聖女アリシアが鐘を鳴らして走り回っていた。

村のど真ん中では、すでに屋台が並び、村人が爆発的なテンションで踊っている。


「なんだこのカオス……」


妖精ルルが俺の肩であきれ顔。

「“年に一度、神に感謝する日”らしいけど、もう完全に理性崩壊してるね」


「見ろよあの屋台、“スライム射的”って看板の横でスライム泣いてるぞ!?」


「働かされてるんだよ、彼らも」


「労働問題まで発生してんのかこの世界!!!」



アリシアが胸を張る。

「この祭りの目玉は、“神輿(みこし)行列”なんですよ!」


「ほう、神輿。ちゃんとした伝統行事っぽいな」


「そうです! 祈りを捧げながら村を練り歩くんです!」


「……それ、爆発しないよな?」


「しません! 去年は爆発しましたけど!」


「爆発してるぅぅぅ!!!」



◆ 爆発フラグ、建つ


広場の中央には、巨大な神輿が置かれていた。

金ぴか、翼付き、そして――明らかにエンジン音がする。


「……なんか動力入ってない?」


「村長が“手動は疲れる”って言って魔導炉つけたんですよ!」


「近代化の方向間違ってる!!」


ルルがじっと見上げる。

「でもこれ、出力調整しないと爆発するやつだね」


「もう爆発予告入ったよ!?」



アリシアが杖を掲げる。

「それでは、神への祈りを捧げます!」


「おいアリシア! 落ち着け! 出力下げてからに――」


「《神光祝福(ディヴァイン・レイ)》!!!」


――ドゴォォォォォン!!!


眩い閃光が広場を覆い、神輿が空へ――


「飛んだぁぁぁぁ!!!」


神輿は天高く上昇し、雲を突き抜けて消えた。

村人たちは歓声を上げる。


「うおおおお! 今年も上がったぞー!!」

「神の領域へGOだぁ!!」


「GOじゃねぇぇぇ!!!」



しばらくして、空からキラキラと光が降ってきた。

花火みたいで綺麗――と思ったら、燃えた神輿の破片だった。


「神輿、帰ってきたぁぁぁ!!!」


アリシアは両手を合わせ、うっとりと空を見上げている。

「わぁ……神様が受け取ってくださったんですね……!」


「いや完全に爆散だよ!!!」



ルルがメモを取る。

「まとめ:神輿、飛ぶ。聖女、祈る。勇者、ツッコむ。結果、バズる。」


「バズらせんな!!」


突然、空から声が降ってきた。

『うふふ……今年も盛り上がってるわね♡』


「出たな女神!!!」


『神輿、ちゃんと届いたわよ。燃えてたけど♡』


「神様、受け取り方雑ぅぅぅ!!!」


『ついでに動画にして“奇跡タグ”で上げといたわ♡』


「SNS感覚で神事やめろぉぉぉ!!!」



祭りはその後も続いた。

屋台の「焼きナス爆弾」が爆発し、

ルルが金魚すくいならぬ“精霊すくい”で捕まって、

アリシアは福引で「神の微笑み賞」を引き当てた(効果:その日中ずっと発光)。


村全体が、まぶしくて目を開けていられなかった。


俺はというと、頭を抱えながら空を見上げる。

また雲が女神の顔になって、笑っている。


「……俺の人生、ほんと祭りみたいだな」


ルルが肩の上で笑った。

「違うよリク。祭り=災い+理不尽って書くんだ」


「新しい国語作るなぁぁぁ!!!」



次回予告:

第13話「勇者教、誕生!?」

村人がリクを“奇跡の男”として崇拝!?

ツッコミが宗教化して、世界がますますおかしくなる――!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る