第40話
ぽっちゃり君正面を見ずに出来るだけ一目がかからない斜め上を見ている。
鈴木 : うわぁ(こんな大勢の前でよくスピーチとかできるな。俺は絶対無理。なんなら内容忘れるかもしれない。)
ぽっちゃり君めちゃくちゃ陰キャだしなんなら人前スピーチみたいなものは小学校の授業以外で経験ないため無理なのである。視線がぽっちゃり君にも集まってるのが分かる。
ぽっちゃり君達は今お屋敷みたいなお城の3階の外吹抜けにある少し大きめのバルコニーみたいなところから外の下を覗く形になっている。これが金持ちの目線なのかと意味不明なことを考えてるぽっちゃり君。
今ガリス辺境伯が奥さんと前に出てスピーチの準備に入っている。簡易的とはいえすぐに準備ができたのが本当に優秀なのだと思った。
女子達は同階層の室内からこちらを覗いている。
ガリス、少しだけ後ろに奥さん、その両サイドに距離を置いてユーリと言ってた槍使いと執事セバスが、そしてその後ろに武装しているメイド長と知らない人何人かと元剣聖が、
鈴木 : 何で?あ、手伝えって言われたの?何を?急拵えの護衛の陣形がお粗末だから火力要因でって?まあいいよ。誰に襲われるか分からんものね。
そしてその後ろに各ギルドマスターと知らない顔の各組合長が、そして知らない人たちとなんか強そうな兵隊さん何人かと、何回かあったAランク冒険者パーティとソロのAランク冒険者君がいる。
ぽっちゃり君はどこにいるかって?
鈴木 : 何で俺がこんな目立つ所にいなきゃいけないんだ…(ぼそぼそ)
奥さんのシリさんが隣にいる。要するにガリスさんのほぼ少し下がってはいるが真横にいる感じだ。めっちゃ見られてるのである。
シリ : お願いしますね裕介様
ガリス : 悪いな呼び出して。最後に裕介君にお願いしたいことがあってな。少し待ってもらう。
鈴木 : ?
すると市民に呼びかけるように演説が始まるすると街全体に広がってるような感覚だ、これは何か魔法か道具を使っているだろうとぽっちゃり君は不思議そうに声がする方を見ていた。
ガリス : 我が名はエヴァリヒ・ガリス。ここ辺境伯領ガリス領を任された領主だ。急に集まってもらってありがとう。そして皆すまない。今私たちが置かれている状況の説明と今後のことを話そうと思う。ここ数日間試行錯誤した結果、結果はでず何もわからず先に進めなかった。今の俺は領主として相応しくないのだろう。父ダルファ・ガリス、そして初代領主エヴァスヒィ・ガリスに顔向けできない。だが! … … … …
現状報告と今後の予定という名の演説が始まった。ぽっちゃり君も最初に会った時のガリスに戻ったなとびっくりである。ここ最近はへりくだっていて貴族なのに申し訳なくなっていたが、流石は数万人規模の街を収めてる領主だけある。
まあ領主なだけで1人で治ることは無理なのでちゃんと区画担当の下位貴族がちゃんといるのだが実際の話ぽっちゃり君一行はこの辺境伯領を回りきれてないしほぼ知らないと言って良いほどである。なんなら妖精さん達の方がここを知り尽くしてるだろう。
ちょっと興味本位と現状心配でどうなるのと聞きに来た、会いに来た人達との世間話ばかりでぽっちゃり君の頭の中は妖精さん達助けてさっさとお家に帰りたいぐらいの精神である。ぽっちゃり実はマイホームが恋しいのである。だがまあちゃっかり夏休み多めにとってるぐらいの感覚でもあるので観光しようよと女子達に誘われてからは気分は落ち込んでないのだ。それに妖精さんのためともなると全然我慢もできる。
モヤモヤハラハラとぽっちゃり君が空を見てると
集まっていた市民達と何も聞かされてなかっただろう後ろの偉い感じの人たちからざわめきがおきる。
ガリス : ということでここが消滅する恐れがあるためその打開策として彼に、裕介君に来てもらった。説明をお願いしたい。
するとガリス辺境伯は妻と下がり必然的にぽっちゃり君が前に出た。
裕介 : ファ!?
唐突なバトンタッチで何も準備してなかったのでフリーズしてしまうぽっちゃり君。ガリス様はちょっとしたり顔である。まあ小さな意趣返しなのかもしれないがあれほど痛い目にあっても腐っても貴族なのだろう。苦手なことが仕草でわかっていそうだった。
妻とガリスは目を合わせている
ガリス : …(ここ辺境領に羽休めに来ていた貴族達や学園に来ていた貴族の子供連中が、特に本国勤めの奴が残ってたせいでうるさかったしな。頼むぞ裕介君)
シリ : …(貴方…辛そう。パーティを開いて説明する前にこんな…先代ガリス様は運がいいのか悪いのか本土に遊びに行ってたし助力してもらいたかったのだけど今は問題が溜まっていく一方。せめて今の状況の打開策になることを祈るわ)
広間に集まった人たちが興味と心配の目で見ている。
鈴木 : 鈴木裕介です!え、えーっと、(ゴニョゴニョ)
羽休めにきた令嬢 : あら、冴えない殿方ですわね。あれが今回の事件の…?
執事 : はい。そのようですお嬢様。
羽休めにきた令嬢B : どんな方かと思いましたが大したことないのですね。
🧚♀️<ピクゥ!
令嬢B : あ、あらごめんなさい。怒らないでくださいましね。
Bのメイド : お嬢様!怒らせないでくださいね!
令嬢B : わ、わかっていますわ。
令嬢C : どうなるのでしょう…
鈴木 : ボケー(頭真っ白)
ロウリー : ピクゥ。ピクゥピクピクゥ?
仕方ないわね。主様にはアリンカムが言ったことを復唱する魔法をかけるわね?
アリンカム : ピクピクウ。ピクピク。
主様お任せください。主様に頑張って似せて話しますね。
アカム : ピクピク!ピク!
主様大変ね!頑張れ!
アン : ピクピク!
人間がゴミのようね!
パイシル : ピクゥ〜
どの世界も人間はこんなものですぅ〜
鈴木 : え、え、あ!お願い。
実はぽっちゃり君がめっちゃ見られてるのはこの事件の関係者だけでなく頭の上でメイドと一緒にいるお茶飲んでるロウリーが1番の原因でもある。
女の子 : お茶の妖精さんのお兄ちゃんだ〜
母親 : そうね。消滅とか言ってたけどよく分からないわね。何を話すのかしら?
自警団君 : なんか消滅って言ってたぜ。穏やかじゃないなぁ
自警団ちゃん : いや本当よ。妖精さんは可愛いけど死ぬのだけは勘弁してほしいわね
教会シスター : …なんかここ来てからほぼ誰も教会に来なくなったけど私が祈りたくなってきたわね。
教会神父 : 私はちゃんと毎日祈ってますよ。
妖精達が集まって来る。多分ぽっちゃり君が喋るから興味本位で集まってきたのだろう。
ロウリー : ピクゥ
それでは始めなさい
アリンカム : ピクピク
分かりました
アリンカム
鈴木 : 俺たちは今妖精達が作った擬似世界にいる。
水晶おばば : 拡声魔法?いや違う。頭の中に直接声が聞こえるのかい?
錬金術ギルドマスター : こんなのは初めてだわ。
錬金術士ちゃん : 魔法ですかね?
ガリス領高等学園教師魔法担当 : これは…どんな魔法なのだ?
ガリス領高等学園校長 : 魔法ではないかものぉ…
学園主席ちゃん : !?
鈴木 : この世界に連れて来て申し訳ないと思っている。だが聞いてくれ。建物や土地は無理だがイルミナースに返す準備ができている。
すると更なるざわめきがおきる。困惑という形でもある。
鈴木 : この世界は不安定だ。私たち…間違えました。妖精たちの詩にのっている多次元存在が作用して妖精の無限結界と合わさり不運にも街を丸ごと妖精の世界に無理矢理移動させたのが現状だ。そしてこの妖精世界はこの街を異物と判断している。
更にざわつく
冒険者ギルマスバッカス : なぁヴァース
商業ギルマスヴァース : なんだバッカス
バッカス : 俺ら妖精の世界にいるらしいぞ?
ヴァース : 頭が痛いんだ少し話に集中させてくれ
バッカス : す、すまん。
鈴木 : そして異物は排除されてるのだが、それがいつ頃か、どう排除されるのかが不明だ。だから排除される前にある方法をとる。
元剣聖 : 長生きすると色々とあるんだなぁ
ユーリ : そっすね。…俺の槍がまだ必要になるかもしれないのか?排除が消滅ってことか?
鈴木 : 別世界の妖精達が使った安定した世界とこちらよ世界を融合する。
ざわめきが急に困惑と驚愕に包まれる。
ガリス領独自開発研究チームチーフ : なあ今融合とか言ったか?
開発研究者ちゃん : …済みません。融合って錬金術士さん達がやってるやつです?
開発研究者ちゃん2 : 多分それ調合ね。
商業ギルド白魔導士 : 融合って魔物が魔物を吸収して強くなると時に使われる言葉ですね。
商業ギルド錬金術士 : アンデットやゴースト系によく見られるな。
鈴木 : 融合することにより世界は安定して消滅から免れる。そして空の旅ともお別れできる。
門番君 : やっとか。門から出てすぐ行った先が空だったから怖かったんだよ〜
門番隊長マギト : それな。俺ら門番の意味も全然なかったからな。
ゴーレム技士ちゃん : 空飛べるゴーレム駆動機私も作らなきゃって思ってたけど必要ない?…やっぱ頑張って作りたいな〜
鈴木 : なのでこの街に住んでる皆んなに選択肢があります。猶予は2日後の夜11時まで。イルミナースに戻るか、融合するこの街に止まるか。どうか後悔しない選択肢を。
市民 : 別に飯に困らないし…家は無理って話だろ?なら俺は選択肢ないな。
冒険者 : 俺は…腹一杯毎日飯が食えるんだよなぁここに居ると
武器屋のおっさん : というか融合?する時ワシら大丈夫なのか?
アイテム・魔道具屋さん : …残る選択肢があるなら大丈夫じゃないのかしら?
隣領からきた令嬢学生 : あら?私は帰れるのね。でもどうしましょう。この世界も退屈ではあるのだけど魅力的ですのよね…融合した後の世界?には出て行った後でも来れるのかしら?
隣領からきた令嬢学生B : 本当につまんないもんね。でも妖精と話せるようになったからなぁ。離れたくないな〜
隣領からきた令嬢学生 : あら?貴方も?私も仲良くなったこの子と離れ離れは…帰っても戦争とご飯の話…あら、結構魅力的ですわねこの世界
執事 : お嬢様周りに耳があります。あまり突発的に発言するのは…
隣領からきた令嬢学生B : いや仕方ないよ。だって今ご飯めっちゃ本国に送ってるんだもん。うちの所の領民もひもじい思いをしてるのにあんな妖精パワー見せられたらね、まあここに残ったらその領民を見捨てることになっちゃうけど兄さん達がいるし戻っても政略結婚の道具だしなぁ
Bメイド : お嬢様…今から続きを話すそうですよ。
そしてそれぞれが思ってことを答えるアリンカムちゃん。
鈴木 : あと1度出たらこの世界に戻れないと思ってください。私たち…じゃなかった、妖精たちとお別れになるかもしれませんので仲良くなった方は最後にお別れを言ってください。融合する際に生じる問題は一切ないです。そして融合後に外に出れる可能性はありますが今より簡単じゃないので難しいです。以上です。
1度銀河を跨ぎ宇宙を無視して神の領域と次元を超えて私たちの世界とくっつけるので、くっつけた後戻りたいとなるとまたフェリーちゃんに裕介にかけた魔法を施すやつをやらなきゃいけないのでまずフェリーが拒否するのと、一部介入可能な同次元、別次元の神類や存在宇宙生物が悪さして死ぬか化け物にされる可能性もあるのでおすすめできないだろう。ぽっちゃり君はフェリーに愛されてるので大丈夫らしい。
だがここだけの話ぽっちゃり君ととある契約をすれば召喚獣として同行できるのだが、まあ帰還といえるかというと全然違う。
一気に広間が街中がざわつき始めた。
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作者です!お読みいただきありがとうございます!
更新ペースは大体1-3日に1話でやっていきたいと思います。
あと欲を言うとブックマークや★と♡などで応援してもらえると嬉しいです!
モチベにも繋がりますので出来るだけでいいのでお願いします!
引き続きぽっちゃり君を宜しくお願いします。
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