第20話女子会
「ねぇ、リト試験も終わったし今日ケーキでも食べに行かない?」
試験が終わった放課後セリーにそう誘われた。
「でも休日じゃないから外出は出来ないんじゃないの?」
そう、正統な理由がない場合休日でないと麓の街へ降りることはできない。それに街へ降りるには一週間前までに細かい申請をしなければならない。それは貴族や商家、魔法士の卵を守る学校側の責任らしい。
「………リト……そんなの私たちが作るに決まってるじゃない!」
「と言うわけで第一回プラベ組女子会の開催よ!」
いつの間にか私たちはセリーの部屋に集められていた。
(生徒会の作業を進めようと思っていたんだけどなぁ……)
「いえ〜い」
「たまにはこういうのも悪くないですわね、私ケーキを自作したことないのですが上手くいくかしら?」
「こういうのは楽しめれば良いのよ。ね、リト」
「え、うん」
唐突に話を振られて戸惑いつつも返事を返した
「スポンジは用意できているからデコレーションをやりましょう」
そう言い、セリーは手際良く材料を並べていった。
「プレッテ桃食べたーい!」
「桃ならトッピングのチョコはホワイトチョコできまりですわ!」
わちゃわちゃとしながらもセリーの指揮により順調にケーキは飾られていった。
「「「かんっせーーい!」」」
目の前には、普通のテーブルには似合わない大きなケーキがあった。切り分けられたケーキを口に運ぶ。
「じゃあリト味見をしてみて」
どうして私なのかよくわからなかったが毒には慣れているし、危険なものも入ってないから大丈夫だろうと思い了承した。
「「「じーーーーっ」」」
美味しかったのか、三人に見られていて緊張したのかよく分からなかったけど、笑みが溢れた。
「やったーーー!リトが笑った!!」
「よかった、作戦成功ね」
一人何のことか分からず困惑している私にリリィが説明してくれた。
「実は本日は、リトを元気にさせるために集まったんですの……ほら、あなた最近元気がなかったでしょう」
そう話すリリィの後ろでセリーとプレッテは手を繋いで大喜びしている。
「……うん。」
どこか小っ恥ずかしくなり、リリィの顔を見れなくなった私は下に俯き小さく返事をした。
「これで作戦その一は達成したわね!」
「え、その一?」
私は裏返った声でそう言った。
「そうだよーリト。私たちはまだリトに教えてもらってないことがある!ずばーり、プラムのパートナーは誰なの?!」
「ぷらむ………あっ、パーティーだ。」
「なにあなた忘れてたんですの?」
「う、あ……うん」
(明後日に開催されるんだっけ?色々ありすぎて忘れてたけど……)
「絶対クレラゼくんとペアだと思うんだけどなぁ」
「いやぁプレッテ、それは分かってないわ!リトは絶っっっ対シオルとペアなのよ!」
勝手に進む話に頭が追いつかず混乱する。
「ど、どういうこと?」
「「パートナーは誰なの?!」」
「この前パートナーが決まっていると言っていて、シオルもクレラゼも女性からの誘いをことごとく断って行くから、どちらかがあなたのパートナーではないかと予想していたんですわ。」
(そういえば前にパートナーを答えるのが面倒くさくて嘘をついたんだった。)
失敗したと思った私は頭を、動かす。
「で、パートナーは誰なのかしら。私も興味がありますわ。」
悩んだ末に私はこう言った。
「実は………パートナーがいるって嘘なの!私はお嬢様じゃないからドレスもそれを買うお金もない、ダンスも踊り方がわからないし、今まで一回もお祭りに参加したことなかったから……」
全部嘘じゃない。本当のことだ。ただ、そこに私の気持ちが入っていないだけで。
「だから私プラムには出ない」
「じゃあ、その問題が解決すれば…いいのよね?!」
(……………え?)
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