第12話試験結果
休み明け、私は学校が始まることに喜びを覚えていた。この休み中、いろんなところから泣き声や、荷造りの様子、学校を去っていく同級生の姿を目にしたからだ。世界で唯一のエリート魔法学校だから、退学者も出るのは耳にしていたが、同級生が学校から去る姿を見て、自分も退学させられる話が少しでも出ていたかと思うと危機感で休んでいる暇などなかったのだ。
教室に着きドアを開けて、私は安心した。退学者が一人もいなかったのだ。
「おはようですわ、リト嬢!」
「リトさん良かったです、退学したのかと思ってました。」
相変わらずプレッテは攻撃力が高い
「リトぉ、来るの遅ぉ〜いよ。心配したじゃ〜ん」
「そんなこと言われても」
「みなさんおはようございます、本日は一段と賑やかですね」
「先生、今日は早いんですね」
「はい、成績発表をしようかと思いまして。順位は上から十名の方は講堂やら廊下に掲示されます。それでは順番に配っていきますね。」
「みなさん成績表は渡りましたね、見方の説明をします、名前の右側にある分数が順位となります。名前の下が魔力量について、一から十で
数が大きくなるほど数値が高いことになります、続いてその右側には筆記試験の結果が、下に魔力の適性について上から特優、優秀、凡、弱となっている。個人への詳しい意見は裏面のデータを読み取って見てください。それに、名前の隣に補習印があった者は今日から補習なので残ってくどさいね。総合順位十名の看板立てときますので見たい方はご自由に。」
私は配られた成績表を見て、唖然とした。全体五十九名中、五十一番のことより、補習を受けないといけない事実に。
「うそですわーーー!」
リリィの声で遠のいていた意識が戻ってきた。
どうしたのかと思っているとクレラゼが説明してくれた
「なんかぁゲニアスの順位が二番目だったのが、ショックだったみたいだょぉ。」
ゲニアスはライバルであるリリィを煽りまくっている。あれが二位なのか。見えないな。
「リトぉ」
クレラゼが横にくっついてきた。なんか最近スキンシップが近くて、多いから対応に困る。
「一緒に補習がんばろぉ〜」
「なんで知ってるの?!」
「さっき見たぁ」
「勝手に見ないで!」
授業が終わり私とクレラゼは補習教室に向かう。そこに行くと私たちを含めた十三名の生徒がいた。コソコソと話し声が聞こえてくる。
「なんであいつらがいるんだよ」
「さぁ、バカにしてんじゃない?」
「はっ、ムカつくな」
その視線の先には、シオルとルミナスがいた。私は少し困惑した状態で席に座る。
「お前たち全員揃っているな。本官はデモ・ウィンド・イシス・レイフォールだ。お前たちは今日から三ヶ月以内にある試験に合格してもらう。それに落ちたら退学だ。お前ら二人も例外ではない」
でも先生はシオルとルミナスを睨みつけるように言った。
試験の内容は簡単な内容で、筆記テストをを受け、一定の点数を超えれば良いというものであった。テストを受けてみるとそんなに難しい問題はなく、初日で半分以上の人が合格し、足早に教室をでていった。私も解答欄を埋めて、デモ先生に提出したが、返ってきたテストは四十五点だった………。
「………リトよ、言いにくいんだが………このテストはミドルの子たちでも満点取れるぞ……」
顔が赤くなるのを感じる。
「え、でも………この問題とか」
私は自身があったが、間違えた問題を指差した。
「"魔物と遭遇した際の正しい行動を答えなさい"という問題なんでかすが、魔物の瞳を見つめて、一定の距離を守るのが正解ですよね?!」
「………リト・ホーリー………その解答は不正解で、正解は"緊急連絡をした後すぐさまその場を立ち去る"だ」
「先生……どうやって緊急連絡をするんですか。」
「………お前、魔道具を使うに決まっているだろう」
(あ…………)
「じ、じゃあその場を立ち去るのはどうするんですか。鍛えられた男性ならともかく老人や子供、女性は?!」
「それも、魔道具だ」
顔が赤くなるのを感じた。
「「「ぶふっ」」」
恥ずかしさで死にそうになっていた私に追い討ちをかけるように笑い声が飛んできた。後ろを振り向くと見知った顔が三つあった。
「リトさん……っそんな…変な魔物の逃げ方…っ初めて聞いたよ」
「お前、そんなにアホだったんだな……ぶはっ……馬鹿すぎるだろ」
「やっぱぁ、リト最高ぉ〜」
「まぁ、そう笑うんじゃない。……それにリトの言っていることはあながち間違っていない。炎燃期前の魔法のない世界では、それが正しい対応だったと言われている」
「そ、そうなんですか?」
「あぁ、動物にとって目を合わせることは敵対する意味を持つ。そのため目を離すと、その一瞬で距離を縮めて、頭を食われる。実際、動物同士の狩りを見てみると分かりやすいんだがな」
「純粋な動物はほとんどが燃え尽き、新しい世界に適応できず滅んでいった。適応した一部の生き物だけ生き残っている……でしたよね」
そう、純粋な動物は絶滅し、この世界にはペガサス、ユニコーン、ドラゴン、ツチノコ、グリフォンなどが親しみのある生き物で、一部は人間と混ざり合い生まれた種族である、獣人、吸血鬼、鬼神、人魚などがいる。
「あぁよく勉強しているな、ルミナス!リト、お前はもっと勉学に励め。そして、お前ら三人………テストが解けたなら持ってきなさい」
このテストで合格点をとってない人たちに馬鹿にされてたと思ったらムカついてくる。しかし、三人の様子を見ていても誰も動かない。暫くして、クレラゼがテスト用紙を指差し言った。
「……でも、先生〜なんか変な術式かかってるけどぉ」
クレラゼがまた変なこと言ってると思ったが、あとの二人も同意見らしく、後ろで頷いている。
「僕が思うにこの術式は物の本質を隠しているように見える。」
「ふむ、ならばこの紙っぺらにはどんな隠し事があるんですかね」
私は恐る恐る先生の方を見た。すると、先生は参ったという感じで口を開けた。
「はぁ、毎年毎年どこから情報が盛れてるのかねぇ。それは確かに術式だ。だが、お前らにどんな術式かは教えてやれない。だから、知りたければ自力でなんとかしろ。ちなみにお前たち三人テストの成績は満点だ。リト……お前は今日から一週間、俺の特別レッスンだ。」
「あ、ははははは」
一週間後
「やったぁぁ、満点取った!」
「………本当に満点取りやがった。」
「先生、私の勝ちですね」
この一週間で、私とデモ先生はある掛けをしていた。その内容は一週間以内に、テストで満点を取れるかどうか。私は掛けにテスト用紙の術式について教えて欲しいと言った。
「さぁ、先生!潔く、教えてください」
「はぁ、これは術式を解くと、とある招待状になる。」
「それだけ、ですか?」
「あぁ。」
「じゃあ、私の頑張りはなんだったのーー!あんな面白そうなことが起こりそうな気配させてたから、勉強頑張ったのに」
「まぁ、良かったじゃねぇか、一般常識が身について」
「ま、まぁそうですけど!はぁ、ゾンビとかお宝とか出てきてくれたら良かったのになぁ、先生一週間ありがとございました」
「……あぁ」
私はペコッとお辞儀をした後、ほっぺを目一杯に膨らまし、その場を去った。
一人になったデモはリトとの一週間を思い出すと同時に今日のテストの結果を思い出す。
(本当に満点取っちまうなんてな)
実は今日のテストは二学年上のテスト内容だった。約一週間掛けてデモはリトに魔法世界の基本と常識について叩き込んだ。内容はそんな難しい問題ではない。だから、ニ日で"常識"という一般的思考を覚えてきたのは少しもおかしくなかった。だから補習の難易度も少しずつ上げていった。そして気づいたら三年生の問題は難なく解けるくらいの学力が身についていた。リトの二つ目の筆記試験の点数は頭一つ抜けていた。だから基礎が身についたことによって学力が格段に上がったのだろう。
(それにしても成長スピードが早すぎるが。)
「ドレアン先生の言っていたことは、あながち間違ってなかったのかもしれないな。それに、あいつなら"あそこ"に行っても受け入れられるのかもな」
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