アキバレンジャー番外:痛みは強さ

@rainbowandsun

第1話

(路地裏の対峙)


「あなたが噂の…秘密のリング戦士?」

「ああ。でも『秘密戦隊』じゃないぜ」


「秘密戦隊…まあいいや」

目の前のビニールのようなスーツ姿を見ても、彼は油断しなかった。


「…適合!」

「ダイレンジャー!」


戦闘開始。


しかし、一挙手一投足がすべて見透かされているようだった。特別な技など必要とせず、基本的な格闘技だけでも、武術の達人ですら太刀打ちできない。


たとえ身体能力が大幅に向上していても、これほどの実力差には敵わない。相手の身体能力も決して低くないのだから。


あまり悬念なく、相手は敗れた。


手の銀白色の装置が消え、指輪は光線となって、眼前の謎の人物の手に渡る。


「ダイレンジャー…ついに一人目か」

「…あなたは?」

「…俺は秋葉原レンジャー。秋葉原レッドだ」

「願いを叶えるのは、俺だ」

「お前も頑張れ。俺も頑張る」


路地裏で、謎の人物は一跳びで瞬時に視界から消えた。


---

(皇居前)


「真白…ここで何してるの?」

「ここが皇居…一万年前と変わってないね」

「別に見るものないよ…」角乃は不機嫌そう。


「本当だ。伏見稲荷大社の方がマシだ。そういえばあそこでもMV撮影したな。陸王は相変わらず元気そうだ」

「寝るな!せっかく来たんだろ」

「まあ来たからにはって感じで…」

「むしろテガソードに仕える人々のために時間を使うべき」


唯一の伝道師を無視し、曲がり角で着物姿の女性と出会う。

「失礼しました」


すると着物の内ポケインからハンカチが落ちた。

「これは…あなたの?」

そこには、刑事レンジャーの絵柄が。


「あ、はい」

「では失礼します」

着物姿なのに走るような速さで去っていくのは珍しい光景だ。


「ちょっと待って」

「なんですかおじいさん」

「さっき演説してた女性じゃないか?」

「確か…仁子内親王殿下では?」

「えっ!あの方がこんなものがお好きなの?」

「スーパー戦隊シリーズの影響力…思ったより大きいんだな…」


---

(東京の街中)


「キングオージャーか…なんでみんな東京に集まるんだ?」

「余計なこと言うな。この国で王はこの私だ」

「王?私が何も言ってないのに」

「通常兵器では神には敵わない」彼は手の銀色の短剣を見せた。指輪には模様が刻まれている。


「確かに無理だ。だが私も…」

「…お前もか」

「適合!」

「秋葉原レンジャー!」


青い輪が全身を覆い、赤いスーツが現れる。


「…ここにもリング戦士がいるとはな」

「キングオージャー!フィニッシュ!」

「秋葉原レンジャー!フィニッシュ!」


少年は左に、少女は右に立つ。

勝負は決した。


「は…は…」

「キュウレンジャー、ダイナマイト、キングオージャーの指輪を手に入れた。だがもう変身する体力もない」


エネルギーが消散し、手すりにつかまって倒れずにいる。

しかし彼は、下の惨状を目にした。


ビルが倒壊し、人々が泣き叫びながら逃げ惑う。

巨大な触手を持つ正体不明の怪物が街を歩き回っている。


「…もう構ってられない」

再び変身し、飛び降りる。


「…これが真の英雄か」バンドの少年は感嘆した。


---

(戦場にて)


「くそ…」

「あれは何だ?」

赤い人影がビルから飛び降りてきた。

しかし体力が尽きかけているのか、触手に払われて壁に激突する。


変身が解け、私たちの傍らに落下する。

スーツの下はフード付きのパーカーとホットパンツの少女だ。どこかで見た顔…


「仁子殿下?」

「ああ。バレたか。急いでてフードを着けるの忘れた」

「もう隠せないわ。ええ、私が秋葉原レンジャーよ」

「…ではあなたの願いは?」

「やめてよ、そんなのプライベートなことだ」


「教えてやる。知る者が多ければ多いほど、成功に近づくんだ」

「子供の頃から、いろんなヒーローが好きだった。スーパーマン、バットマン、アイアンマン、仮面ライダー、全部私のアイドルだった」

「でも、私は貴族なの。貴族が平民と同じものが好きだなんて、ありえないでしょ」

「両親が理解があるかないかの問題じゃない。実際二人は一度も止めなかった。祖父母もね」

「ただ…こういうことが国民に知れたら、大きなニュースになるでしょうね。反響が良いわけないから」

「殺人事件にステレオタイプ…二次元の日常は隠れ暮らし。合法なのに、ねずみのように暮らす。私たち名家はなおさらだ」

「だから…私の願いは、世界に受け入れられること」

「一人一人に宣伝してたら、一生かかっても無理。だからリング大会は数少ない希望なの…」

「でも…もし私が傍観するなら」彼女は拳を握りしめ、指輪の腰に手を当てるヒーローを見つめる。

「ヒーローの継承者を名乗る資格はない」


「…自分の欲望のために努力する人なんだな」

「へ?」

「なら、言うことはない」

「まず目の前のクソ野郎を片付けよう!」

「そうだな!」


「そう来ると思ったぜ!」怪物は手を振るい、強力なエネルギー波を放つ。

だが私たちは恐れない。ここにいる全員がヒーローなのだから。


「適合!」


七人が同時に変身する。獣五人組は胸で輪を作り、白熊は自分を氷に封印し、解放する。

銀の手飾り剣を持つ姫だけは、カッコいい横立ち姿勢で額に触れ、飛び出したエネルギー弾を自分に戻す。


たとえそれがビニールのスーツでも、妄想は止まない。ヒーローの伝説も、偉大な伝承も、決して終わらない。


「行くぞ皆!」仁子は爽やかに叫ぶ。


「キュウレンジャー!」


無数の武器が突然現れ、怪物に襲いかかる。

その中で、彼女は盾剣を手に取る。


刃を抜くと、燃え盛る炎が現れる。


「死ね!」


炎の長剣が三閃し、怪物は苦痛に倒れる。


「これが宇宙戦隊キュウレンジャーの力だ!」

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