第14話 母のパソコン

私、遥香は母の日記が残っているパソコンを閉じた。


母のパソコンはとても年代物である。


あまりに古くて、立ち上がるかどうか心配だった。


母が亡くなってから、もう3週間経った。


群馬の実家に残された遺品の中に母のパソコンがあり、とりあえず処分できなかったので、持って帰ってきた。


なにしろ40年前のパソコンである。


電源は大丈夫なのか心配したが、なんとか電源も入り、立ち上がった。


母は小説家だった。ただそれだけでは生活ができなくて色々な仕事をしていた。


この古いパソコンは学生時代のものらしい。


2010年ごろのものなのか?


この中に小説らしきものはなかったが、日記があった。


その文章を読むにつれ、私の知らない母がいた。母の青春時代のことなど話してくれなかったので、ここに書いてある学生時代の話はとても新鮮だった。


それにしても、何故こんな古いパソコンを残していたのか?


私は夜に子供達を寝かしつけたあと、少しづつ読むことにした。


母、植田加奈子の大学時代の日記。


日付は2009年4月、大学入学から、山岳部に入ったことから始まっていた。

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