第4話 初めての夜の詩は夫婦のはじまり
バルドとブレイブが
バルドは一人、ベッドの上で
それもそのはずだろう。
会って
そうなれば夫婦が夜、二人きりの部屋ですることといえば……ブレイブの頭に
――
バルドはエルフの森でずっと暮らしていた。
もちろんエルフだって夫婦の
しかしエルフ族の中ではまだ若いバルドは森のみんなから
しかしその時もバルドは、
それゆえにバルドはそちらの
そして自身が幼い子供程度の知識しか
しかし夫婦になるのだから
その本を読んでから、バルドはずっとこの調子なのだ。
サイドテーブルに置かれたその本の表紙に書かれた
――
その本に書かれていた
そのせいか彼の頭の中には、
今のバルドの
――本を読んではみたはいいけれど、結果よくわからなかった。よくわからなかったけれど、なにやらとんでもなくスゴイことになるらしい。
そんな
そんなこんなで彼がやきもきとしている間に部屋の扉が、ガチャリと音を立てて開けられた。
ブレイブが風呂から戻ってきたのだ。
水を
本人はただ風呂から戻ってきただけで、そんな色気を漂わせているつもりは、全くといっていいほどないのだが。
「お風呂も入りましたしそろそろ……」
そんな彼の様子は見ていなかったブレイブだったが、ふと顔を上げてバルドを見た瞬間、そろそろ……のあとに続くはずだった、
そして少し
「えっと……大丈夫ですか?」
「だ……大丈夫とは……?」
「
風呂上がりの温かいブレイブの手がバルドの
そんなブレイブの気遣いからくる行動にも、意識してしまっているバルドは何もかもに
夫の
「いえ!体調はすこぶる
そう言いながら体を
「ブレイブ……ですよ。そう呼んでくださいと言ったじゃないですか」
熱のこもった強い
バルドはベッドに
「バルドっ……!!」
ハッとした表情のブレイブが
ブレイブがバルドを
しかし今のこの状況にバルドは戸惑ってしまった。
体は
ギシリと音を立てて、二人の体重を
「あ、あの……ブレイ……ブレイブ……」
そんな様子の彼の瞳を今一度、絡め取るようにみつめてから、
「痛いところは?どこかにぶつけていませんか?」
「えっと、大丈夫」
「そう……よかった」
ブレイブは
「それにしても、
そう優しく問いかけられて、バルドはおずおずと答える。
「具合っていうか……僕……誰かと夫婦になったの初めてで……」
「私も誰かを
「うん、わかってるよ。でも、僕、ずっとエルフの森にいて、
「そういうこと……?」
ブレイブの短い問いかけに
そして自身の顔を隠すように両手で持って、ブレイブにその表紙を見せる。
「……最初の夜が
その本の表紙に書かれた本の題名を見て、ブレイブは少し驚いてから、花が
ブレイブはバルドをずっと
「あなたが私と一緒にいたいと思ってくれたこと、夫婦であろうとしてくれていること、そのために頑張ってくれたこと嬉しく思いますよ。けれど私も……私も全てが初めてで……誰かを愛おしいと思ったのも、娶りたいと思ったのも、娶ったのも、この
そう言ってブレイブはそれまで
顔はバルドに向けたまま、
「私も初めてなんです。だから……一緒に、ゆっくり知っていきましょう。ゆっくり……ゆっくりと私たちの
ブレイブはそう言いながら、本を置いた方の手をバルドの
恥ずかしさからか少し泣きそうになってしまっているバルドの頬を
そのまま頬を離れたブレイブの手は、今度はバルドの手を取り、
バルドは一瞬だけ
その表情の変化の理由をブレイブが目だけで問いかけると、恥じらいが戻ってきたバルドが呟くように
「そういえば僕、あなたに初めてバルドって、初めて
「慌ててましたから咄嗟に出てしまいました」
「うん。でも……心配かけちゃったし、
もちろん夫婦間でも敬称があった方がいい人もいるだろうが、バルドは敬称無しで名前で呼ばれたことが嬉しかった。
この感覚をブレイブにも
「ブレイブ……ありがとう」
その時の甘く
バルドとブレイブが夫婦となって、初めて一緒に
その日、二人は一つのベッドで手をつなぎ、バルドが先に
そんな夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます