アンタは俺のモノ6


 部屋選びで重要視したのは"大学から近くて家賃が安いこと"と言っても過言ではなく、間取りとか風呂とトイレは別でとか……そういうのは全く気にしなかった。

 すると不動産屋が「ぴったりな物件がある」と意気揚々に紹介してくれたのがこの部屋だったのだが……あまりに安い。さすがの俺も気になって不動産屋のおっさんを問い詰めると、おっさんはすごい遠回しに"ワケあり物件で"というコトを教えてくれた。

 その解答に対して俺の感想は「何だ、そんなことか」だ。幽霊なんて信じていないし、仮に幽霊が存在していたとしても霊感なんてないから大丈夫。それに、人が亡くなった部屋を気味悪がるヤツはいるだろうが、俺はそれを気にする程神経質ではない。昔から"無神経"だの"鈍い"だのとよく言われる。

 俺にとって幽霊が出る部屋とか、人が死んだ部屋とかいう事実は些細なことで、なんの問題ではない。





 ……という事を説明すると、ユーゲンさんは眉をひそめる。


「お前、マジで変わったヤツだな。ここがだって分かっててわざわざ選んだんだ。オレはてっきり不動産屋のジジイに騙されたのだとばかり思ってたよ」


「まぁ、騙されたとしても……」


 目の前の幽霊らしからぬ男をジッと見つめて、ポツリと言う。


「結果オーライなんで、怒ったりはしないっスね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る