生臭い呪い…海に飲まれた家族の悲劇…

消えた妹を探す男が見た、海境村の真実。

昭和初期の因習と個人の狂気が、海という巨大な存在によって増幅されていく様を描いた物語。

湿気、魚の血の臭い、腐敗臭、潮の匂い、太鼓の音など、五感を刺激する描写が非常に濃密で秀逸、陰鬱な「海境村」の空気感が伝わってきます。

海難、人身御供、怨念、そして村の歴史、の全てを凝縮したものとして、呪いの実体が描かれており、非常にユニークで恐ろしいモチーフです。

救いのない結末も、読後も怖さを続かせます。

遠くの海に漂う、黒い何かを見てしまったら、あなたを追って来るかもしれませんよ?

おすすめです。