雪の降る一日

原川戸塚

雪の降る一日

・原野 雪

原野家の長女

一番の理解者であるあなたのことが好き


・あなた

原野家の長男

妹の相談に乗るが、いつも最適解ではなく

妹の有利の解決策を導く、好かれているのはわかるが兄妹での

感情ではないとわかっているので無視している。





寒い

朝、覚醒すると目を開けたくないほど部屋は凍えていた。

外はきっと雪景色だろう、雪がしんしんと降り積もっているだろう。


ムクッと起き上がり周りを見渡そうと目を開ける。


そこには1歳下の妹がいた。


「ユキ、なんでこんなところにいるんだ?」


「そりゃね、お兄様の顔を一番最初に見れるのは私だけ!その権利を満足に堪能しているんだよ。」


「キモいぞ、変態。」


「嘘だよ!そんな変態なわけないじゃん、母さんから起こせって言われたの!え!?マジだと思ったの!?そうなってほしいの!?お兄ちゃんキモい!」


妹は早口でそういった。


事実ではないのでそれを無視してベッドを起き上がり、部屋を出ようとする。


「まてよ兄貴!無視するのか!?無視は沈黙とみなす!」


「もういいよそれで、めんどくさい。」


(小声の妹)(そうなんだ...よかった♪)


「なんか言ったか?」


「何も言ってない!何!?好きすぎて幻聴聞こえちゃった!?高望みしすぎでしょ!確かに!私はここら辺で一番かwai...」


なんか言ってるがそれを無視して下の階に下っていく。


リビングにつくと母や父はおらず、ご飯だけが用意されていた。


「母さんと父さんは?」


後ろからついてきていた妹に聞くが


「知らないよ、起こしてきなさいとしか聞かされてないもん」


「そうか...」


よく見るとご飯の用意されているテーブルに手紙が置かれてあった。


『最近、二人とも休みなかったでしょう!これで遊びに行きなさい、母さんたちは親戚の家に行ってきます。』

と千円札と共に置かれてあった。


千円札で高校生二人の娯楽が満たせるだろうか、否無理だ。しかし行かなかったらなんかありそうだし、近場で遊ぶか。


「とのことだがどこか行くか?」


「....」


反応がない


(小声の妹)(兄ちゃんと遊び...!?えへへ...)


「顔がとろけてるぞ妹よ、どこか行きたいところあるのか?」


「え!?いや、あの...イルミネーション!イルミネーション見たいなって!」


「そうか、母さんたちが帰ってくるのこの書き方だと遅そうだしな、いいんじゃないか?でもそれまで何する?」


「マレオンカートを何回かやって一位が多いやつはこの千円を使えるってことで!!」


「いいぞ、やってやる。ご飯食って着替えてからな。」


ご飯をかきこみ、服を着替えマレオンカートを一緒にやると再戦に再戦を重ね日が落ちていった。



上着を着て玄関にたつ


「準備できたのかそれで...」


「うんそりゃあね、見てわかんないかな?わかんないか、節穴だから」


「やだって、ねぇ。足がねぇ」


こんな雪景色なのにスカートが短く足がすごく出ていた、すごく痛くなりそうな気がする」


「どこみてんだキモ!」


「こんな日にそんな装備で行くやつのほうがキモいだろう!」


「そうかよ!お兄様には理解できませんよ!”ファッション”は!」


「そんなのがファッションなら俺はファッションを知りたくねぇよ」


「いいですよ!一生ファッションわからず死になさい!」


「死ぬまで行くか!行くのかその足は!?」


「行きますよ!この努力をわからない奴は死ね!」


「そうか死ぬからこのイルミネーションいかんでいいか!」


「いや!それはいやなの!」


妹が駄々を捏ねだしたのでめんどくさくなり家を出る


「待てよクソ兄貴!」


公園に移動すると小さいイルミネーションが行われていた。


「こんなイルミネーション見たかったのか?」


驚くほど小さなイルミネーションだった、例えるならば家のベランダにつけるようなイルミネーションが木につるされている感じだ。


「うっうん!」


いまだしんしんと雪が降る中公園には俺と妹の二人しかいない。


「兄貴」


その声色は何かいつもの妹とは違うものだった。


「どうした?」


「私...兄貴のことがね...」


「やめとけ」


「なんで?」


「いや、なんとなく。それより千円使いに行くぞ!」


「う...そうしますか!」


二人の雪の足跡はコンビニへと続いていった。

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雪の降る一日 原川戸塚 @SaotomeSousKukyoku

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