第41話 調査

【記録編集者による註釈 XI】

次に示すのは、先輩が、自らの崩れ落ちそうな理性を繋ぎ止めるため、最後の、そして最も危険な賭けに出た記録である。彼は、プロの調査員を使い、法という人間社会のルールの上で、あの「悪魔」の存在を証明しようと試みた。

客観的な「事実」という名の光で、自らの内に巣食い始めた暗闇を祓うために。

その試みは、半分は成功し、そして、半分は、最悪の形で失敗することになる。



▼水野のPCメモ:2025年7月11日_最後の駒

東京に戻ってから、俺たちは悪夢にうなされていた。

俺の頭の中では、二つの現実がせめぎ合っている。伊豆で体験した、ありえないはずの現実。そして、東京の、あまりにありふれた日常。どちらかが、嘘のはずだ。そうでなければ、俺が壊れてしまう。

事実が必要だ。客観的で、揺るぎない、第三者による事実が。

俺は、最後の、そして最も頼りになる人へ依頼することにした。

警察OBの調査員、村上さん。彼に、あえて超常的な背景は伏せ、「複雑な人間関係のもつれによる、幼児失踪事件の可能性」という名目で、二人の人物の追跡を依頼した。

「榊小夜」と「一条紫苑」。この二つの名前を、法的に繋げるための、決定的な証拠を掴むために。

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