第15話 網を広げる

【記録編集者による註釈 II】

「榊」という姓、「子守唄」、そして子供たちの手元に現れる「光る貝」。

新たなピースは、謎を解き明かすどころか、さらに深い混乱へと先輩たちを誘った。次に示すのは、彼らが調査の網を広げ、事件現場周辺の他の怪異をリサーチした際の記録である。


▼水野のPCメモ:2025年6月22日_網を広げる

被害者家族へのインタビューで得られた新たな断片――「榊」という謎の姓、そして「不気味な子守唄」。

「坂女」は、単にそこに現れるだけの怪異ではない。失踪のずっと前から、標的となる子供に**「接触」**し、歌を教えるなど、何らかの準備行動を行っている可能性がある。

俺は、一度集めた情報を整理し、より広範な証言を集めることにした。警察が「信憑性なし」として処理したであろう、断片的な目撃情報。その一つ一つを、もう一度拾い集める。

一つ気になるのは斎藤由美さんからの返信。……愛菜ちゃんは、一度は怪異の接触を自ら退けていた……。それが何を意味するのか、今はまだ分からない。


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