第39話食料が無くなるまでが遠足です
大将首をお土産に持っていったのに、部隊長と来たら怒るんだ。何持ってきてやがるってさ。勲章だよ? 大将首だぞ? 誰もが欲しいと思うものじゃないか。なんで嫌がるんだよ。ちゃんとしたお土産なのにな。嫌がらせじゃないぞ? 大将首って本気でお土産なんだって。戦争では結構な勲章なんだよ。だから向こうで取られないようにして持って帰ってきているってのに、要らないって言うんだもんな。大将首を要らない訳がないだろ? と言う事で、押し付けてきた。良い事をしたよな。うんうん。まあ、帰ってこないはずの部隊が帰ってきたんだから、面倒な、とは思っているんだろうけどな。結局、帰ってきたのは俺とアーリアだけだったし。まあ、味方からも攻撃されていたからな。生き残るのは難しかったんじゃないかな。撤退戦よりは、生き残りやすいのは本当だとは思うけど、それでもだよな。ある程度の死亡率はある訳で。エナジーバレットの雨を対処できないと、死んでしまうからな。当たらない事を祈るしか出来ない。
そんなこんなで、今日も今日とてアーリアと模擬戦だ。アーリアの動きが読めるようになって来たからな。勝率は6割と、俺の方が勝ち越してきている。初めは、アーリアの奇想天外な行動に、予想を外されていたが、その引き出しも段々と少なくなってきているので、何とか勝ててはいる。まあ、4割は実力で負けている訳なんだけどな。まあ、殆どのステータスが一緒だからな。AGIだけが誤差で、後は同じなんだし、負けても仕方がない所ではあるんだけど。
そんな訳で、遊んでいた訳なんだけど、また新しい作戦が届いたとかで、俺たちも招集されていた。部隊もまだまだ数は居るからな。来年には誰1人として残らないんだろうけどな。第11部隊から第15部隊ってそういう所だし。特に第15部隊は損耗が激しいのだ。生き残りが少ないって言える程度には損耗する。まあ、その為の部隊なんだから仕方がないんだけどな。
「さて、諸君には死地に向かってもらう。今回の作戦は、陣地の放棄を決定した場所での戦闘である。陣地の物資をちゃんと持ち帰るための時間稼ぎである。作戦は、陣地の撤退が行われるまでである。それ以外での撤退は禁止だ。1人になっても戦い切る様に。陣地が撤退した後は、戻ってきても構わない。出来れば、敵兵に大打撃を与えてくれれば助かるという言葉を頂いている。各自、奮闘するように。以上だ」
ほう。前回と同じように陣地を確保したはいいが、守りが辛すぎて放棄するのか。まあ、よくある話だな。普通、陣地とは、こちらに都合よく、相手に利用させるときには防衛が難しいようにしておくべきなんだ。そういう場所に陣取られて居たんだろうとは思う。まあ、だからどうしたって話ではあるんだけどな。そんな事は基本中の基本なので、向こうとしても解っていることだとは思うんだよな。そういう時は、立て続けに攻めないと、前線は上げられないんだ。そんな事も解っていないらしい。少しは解った方が良いとは思うんだけどな。とまあ、そんな事は良いとして移動である。
移動は徒歩。相変わらず、士気が高いというか、恐怖を感じていないようで何よりだ。これで簡単に見捨てることが出来る。元より、守る気はない訳なんだけどな。ただ、今回は生き残る可能性は結構あると思っている。撤退戦と言う事で、多くの召喚獣を使おうとは思っているからな。まあ、色々と見られるだろうが、それでも大丈夫だとは思う。これから洗脳させることは無いだろうしな。MNDを貫通してくるとは思わないし。
「さて、来たか。作戦を通達するぞ。5日後にここの前線を放棄する事に決めた。これは決定である。故に、10日分の食料を持たせる。食料が無くなるまで奮闘せよ。食料がなくなり次第、撤退をしても構わない。その頃にはこの前線も放棄できているだろう。では、健闘を祈る」
と言う事で、敵陣地の方向に出兵させられた訳なんだけど、やってはいけないことは、食料がなくなる前に撤退をする事。それだけだな。食料が無くなるまでは、奮闘しなければならない。だが、敵の拠点を落としてはいけないとは言われていない。さて、何処までやるかだな。出来れば、敵の大将首は欲しい所だ。部隊長が要らないと言っても、押し付けるものは必要だと思われる。それを確保するには、戦闘で勝って、敵陣地を破壊しなければならない。まあ、何とかなるとは思うけどな。ドラゴンは使わないにしても、今回は結構な戦力を投入していけば良いとは思う。思うんだけど、敵将を討ち取るには、敵将に出て来て貰わないといけない。と言う事は、一度受けに回らないといけないと言う事なんだよな。
「ねえ、ベル君。皆突撃していったけど、良いの? 私たちも行かなくて」
「良いの良いの。敵兵にはここまで来て貰う必要があるからな。皆はおびき寄せるための餌になって貰った訳だ。突撃していって、勝った場合、向こうは戦闘の準備を整えて、こっちに向かってくるだろうからな。それが大体5日後くらいなんだろうとは思う。それをここで食い止めるのが、俺たちの仕事だ。突撃したら、敵将の首が取れないじゃないか。ちゃんと出て来て貰わないといけないんだよ。だから、生き残りたい奴はここに留まるのが正解だったわけだ。……皆突撃していったけどな」
「作戦を守るには、そうした方が良いってことなんだね。解ったよ」
そうなんだよな。今回の作戦は、足止めである。単純に突撃すれば良いってものじゃないんだ。ここで足止めをする必要がある。まあ、アーリアとキャンプだな。隠れてキャンプをしなければならない。なんで隠れるのかって? その方が大将首を取れるチャンスが増えるから。サイドからの奇襲を食らわせてやるんだよ。それで一網打尽にするのだ。その後に、敵陣地を襲撃し、ぶっ壊すと。完璧な作戦だな。
「それじゃあ、この辺で寝るぞ。敵軍が来るまで待機だ。敵軍が来たら、どちらか寝てた場合は起こすこと。まあ、昼間に来るとは思うけどな」
「解ったよ。けど、他の人はなんで突撃していったんだろうね?」
「洗脳では複雑な命令は出来ないんじゃないのかね? 詳しい事は知らないが、多分、そういう制約もあるんだろう。作戦内容を理解していれば、この辺で待機するのが正解だって解るはずだしな。解らないくらいには洗脳されているんだろう。後は、戦略なんて解らないんだろうからな。今まで個人で動いてきたんだろうし。軍隊で訓練無しにいきなり使われるのは、ちょっとな。流石に厳しい所があるとは思う」
「へー。まあいいけど。何が入っているのかな? 美味しいものが入っていると良いけど」
「水と乾燥した食べ物が基本だろう。煮炊きはするなよ? 奇襲がバレる」
「うへえ。あんまり美味しくない食べ物セットだ。仕方がないなあ。これで我慢するしか無いかあ」
「贅沢は言えないからな。まあ、奇襲を成功させるのが俺たちの仕事だ。任務は確実に遂行する。それまでは待機だ。大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。食べ物が美味しくなくても我慢するよ。取りあえず、これがなくなれば、帰っても良いんだよね?」
「そう言う事だな。10日分はあるが、10日居ないといけない訳じゃないんだ。我慢くらいはするさ」
食料が無くなるまでの奮闘だからな。食料がなくなれば、終わりで良いんだよ。まあ、食料がなくなる前に、敵将の首を落としに行くんだけどな。勲章を手に入れなければならない。しっかりと作戦を遂行したうえで、部隊長の上を行くんだよ。
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