第26話そもそも色々と間違っている
「あんたら、無断で吸血鬼の町に入ったのかい? ……ただ、これを見るに、実力はあったってことなんだろうけどねえ」
「そりゃあ実力が無いのに、入ろうとする方が間違っているだろう? 実力不足で入って良い場所と、そうではない場所があるのは知っているさ。ただ、年齢だけで入るなって言われるのには気にくわないとは思ったけどな。兵役が終わってからでも十分に通用するのかどうかは、その人次第だ。ましてや、サボっていた奴らなら……いや、サボっていた奴らはこんな所に志願なんてして来ないか」
「まあ、そう言う事だよ。ここには、兵役で鍛えられた精鋭がやってきている。スタンピードを起こさないように、厳重に管理をする必要があるのさ。毎年、それで何人もの戦力が命を落とす。1日に1体でも狩れれば良い方さ。こんな簡単に成果を上げられたら、堪ったものじゃないって事なんだろうとは思うけどねえ。実力があるのに、討伐に参加させないってのもおかしな話だし……」
「ん? そもそも吸血鬼の町はスタンピードを起こさないだろう? 討伐を放置しても、スタンピードをを起こす場所じゃない。スタンピードの条件は、中央の城の鏡を割って回ることだ。それも、1日に5割以上の鏡を割らないとスタンピードは起きない。管理不足も何も、中央の城さえ気を付けておけば、何のことはないはずだろう?」
「……あんた、この国の誰も知らない事を、なんで知っているんだい?」
「そもそもだ。検証ついでにスタンピードを起こすか? 処理はかなり大変だけど、鏡を割ってしまえば、スタンピードは起きる。それ以外ではスタンピードは起きないはずだ。ドラゴンバレーなら、10年間に100体以下の討伐数でスタンピードは起きる。だが、吸血鬼の町は、そんな条件ではスタンピードは起こさない。現に、過去に1度も起きたことがないんじゃないのか?」
「確かにそうだ。吸血鬼の町は、まだスタンピードを起こしたことはない。ドラゴンバレーは過去に資料があるけどね。それで、大体の狩場で、スタンピードが起きないように、定期的に狩りをしている訳だ。それが違うってんだからねえ。驚かない方がおかしいとは思うんだがねえ?」
「はっきり言って研究不足だな。未開地の狩場はともかく、人間の住むエリア内だけでも、確実にスタンピードを起こす方法を知っていないといけない。そうしないと、他国からの干渉で、簡単にスタンピードを起こされるぞ? 特に吸血鬼の町なんて簡単だ。まあ、実力的には、ヴァンパイアカウントを余裕で倒せるだけの力が必要になってくるけどな。いい感じのパーティーを組めるのであれば、5パーティーも居れば、スタンピードは起こせてしまう。警備は確かに必要だろう。ただ、警備の場所は門じゃないって事なんだよ。城の方にいかないといけない訳だ。そうじゃないと、悪意ある輩がやらかしたら、被害は広がる一方だぞ? 俺たちはメリットが無いから、スタンピードなんて起こさないけどさ。まあ、メリットがあっても、止めておく方が無難だとは思ったけどな」
吸血鬼の町で、スタンピードを起こすメリットはある。超低確率になるが、上位のヴァンパイアと契約できる可能性があるんだから。そもそも確率が低いので、スタンピードを起こすメリットは十分にあった訳なんだ。だが、それは兵士が対処できる範囲であれば、なんだけどな。兵士はおろか、狩人も太刀打ちできないとは思わないじゃないか。大体ではあるが、マジシャン系統を光属性に伸ばして、5回進化すれば、ヴァンパイアハンターとして活動できるくらいには、強力な光属性攻撃が出来る。レベルに換算すれば、5万くらいのレベルであれば、それが可能となるんだ。……多分だけど、光属性に伸ばす人が少ないんだろうな。主な狩場が天使高原なんだから、光属性に伸ばすのかって話もあるし。そこで狩りをするには、いささかINTが足りない。INTばかりに振る訳にもいかないからな。だから、ここで活動するにしても、魔法使いのレベルが足りない訳だ。
積極的にスタンピードを起こせれば、一気にやれることが増えたんだけどな。ここでスタンピードを起こすことが出来れば、Sランクのエルダーヴァンパイアロードが普通に出てくるようになる。そうなってくると、30回くらい殴りつけて契約が出来る。まあ、確率は0.03%とかなんだけど、そもそもヴァンパイアカウントの時点で3%以下なんだから、大した手間ではない。そして、経験値は膨大なんだけどな。効率だけで考えれば、吸血鬼の町でスタンピードは起こしたかった。狩人のレベルから、不可能だと悟ったけどな。こんな場所で毎日スタンピードを起こしていたら、皆死んでしまう。生き残ることは不可能だ。確実に全滅する。それが解っているから、今回俺は中央の城には近づかなかった。そんな事をやってみろ。確実に戦犯になるからな。
「あんたらが強い事は理解したさ。これだけのミスリル銀灰を手に入れることが出来ているんだからねえ。これで少々は武器もまともになるさ。前線の奴さんの武器も、ミスリル銀にすれば、一気に攻撃が通る様になるんだからね。それだけでも、こちらとしては嬉しい事なんだよ」
「それなんだが、武器は良いんだけど、魔法使いはどうしているんだ? 吸血鬼には、魔法の方が効くだろう?」
「あんたらは知らないのかい? 魔法と言えば、ドラゴンバレーで重宝するんだから、そっちに回しているさ。吸血鬼の町では、主に近接戦闘が得意な奴が。ドラゴンバレーでは、主に、魔法攻撃が得意な奴が就職するのさ。だから、ここには魔法使いは少ないよ。……何さ、頭を抱えて」
「知らないみたいだから言っておく。ヴァンパイアは物理攻撃に耐性があって、魔法攻撃に弱い。ドラゴンは魔法攻撃に耐性があって、物理攻撃に弱い。配置する戦力が逆なんだよ。そりゃあ、空を飛んでいるドラゴンに、近接攻撃を当てるのは難しいかもしれない。だが、ドラゴンもブレスを連発できるわけではない。必ず降りてくる。その時に物理攻撃を叩き込むのが基本だ。そもそもミスリル銀で出来た武器をドラゴン討伐に回してやれば、簡単に勝てるだろう? ヴァンパイア相手には魔法で戦うのがセオリーだ。俺たちみたいに召喚士なら、話は別なんだけどな。どれだけ足掻いても、エナジーバレットではダメージを与えられない。だから、ヴァンパイアには属性攻撃を、出来れば光属性攻撃をするのがベストだ。それを解っていないんだから、攻略が難しくて仕方がないはずだ。そもそも兵力の配置を間違えている」
「……それは本当の事なのかい? だが、ドラゴン相手に近接戦闘を仕掛けるには、ある程度の熟練したファイター系統の職業持ちが必要になってくるが、それをどうやって用意するんだい?」
「それをどうにかするには、この吸血鬼の町で、ミスリル銀を大量に用意しないといけないからな。ミスリル銀で全身鎧を作れば、全属性の50%くらいはカットできるだろ? それと盾で特定の属性をカットするのと、悪魔の尻尾で特定の属性をカットしていけば、属性攻撃の8割はカットできるんだ。それを基軸にして、攻略を進めるのが一般的なんじゃないのか?」
何のための属性カットだとだと思っているんだよ。そして、属性ドラゴンからは更に属性をカットする革が手に入るんだから、それを使ってどうにかするんだよ。それで、ゆくゆくは、全属性を8割くらいカットする様な装備を整えていくのが普通だ。順当にいけばそのはずなんだけどな。
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