第5話 虚無の中の声

「虚無の中の響」

2025年の冬、世界は静寂の中にあった。人々は日常を送りながらも、どこか不安げな表情を浮かべていた。それは、目に見えない何かが迫っている予感のようだった。

その頃、私の耳に「響」が届くようになった。最初はただの風の音かと思ったが、次第にそれが何かのメッセージであることに気づく。「虚無の中の変化に気づけ」と、何度も繰り返されるその声は、私に警告を与えていた。

ある日、私はその「響」に導かれるように、古びた図書館の一角に足を運んだ。そこには、かつて「無限来夢」と呼ばれた存在の記録が眠っていた。彼の名は、時の流れと共に忘れ去られていたが、私にはその存在が重要であることが直感的に理解できた。

「無限来夢」とは、かつて虚無と戦い、そして虚無に飲み込まれた存在だった。彼の記録を辿るうちに、私はある真実に辿り着く。虚無は単なる空白ではなく、意識を持ち、世界を変容させる力を持っているということ。

そして、私は「無限地獄」と呼ばれる存在の存在を知る。彼は虚無の中で生まれ、虚無を拡大させる力を持っていた。その力は、私たちの世界に影響を与え、次第に人々の心を蝕んでいった。

私は「無限来夢」の意志を継ぎ、「無限地獄」に立ち向かう決意を固める。しかし、戦いは容易ではなかった。虚無の力は強大で、私の力では到底敵わないと思われた。だが、「響」は私に勇気を与えてくれた。「あなたにはまだ、諦める理由がない」と。

私は「無限地獄」との戦いを続ける中で、次第に虚無の本質に迫っていった。虚無は恐れではなく、理解と共感を求めている存在であることに気づく。そして、私は虚無と対話を試みる。その結果、虚無は少しずつ姿を変え、世界に調和をもたらす存在へと変貌していった。

戦いの後、世界は静けさを取り戻した。人々は再び日常を送り始め、私もまた新たな一歩を踏み出す準備が整った。「響」はもう聞こえない。だが、私は確信している。あの声は、私が進むべき道を示していたのだと。



「響の囁き」

第一章:次元の誤解

牛嶋和光は、深夜の静寂の中で目を覚ました。部屋の隅に立つ影が、彼を見つめていた。

「牛嶋和光、目を覚ませ。」

その声は、どこか懐かしく、そして不思議な響きを持っていた。彼はその声に導かれるように、次元の謎へと足を踏み入れることとなった。

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第二章:次元の真実

響の声は続けて語った。

「人々は、次元を誤解している。一次元は点、二次元は平面、三次元は立体、そして四次元は無限来夢、無限地獄、すべての生物が見ている夢だ。」

牛嶋はその言葉に驚き、そして深い疑問を抱いた。彼は次元の真実を探求する旅に出る決意を固めた。

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第三章:人間第一主義の世界

牛嶋は、地球が抱える問題に直面する。

「戦争やテロ、格差や差別、貧困、食料危機、さまざまな問題が人間第一主義の世界を形作っている。」

彼はその現実に心を痛め、何とかしてこの状況を変えなければならないと感じた。

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第四章:四次元の夢

響はさらに語る。

「四次元は、すべての生物が見ている夢だ。『響』の声が聞こえる生き物が半分、聞こえない生き物が半分。巨大化した虚無にはなすすべがない、戦いが続いている。」

牛嶋はその言葉に深い意味を感じ、次元を超えた真実を探求する決意を新たにした。

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第五章:ビッグバンの真実

響は語り続ける。

「ビッグバンが始まったばかりのこの地球、本当に人間の証明ができるのか。神や文字、その他、人間が創った戦いの歴史、本当に信じてよいものなのか。」

牛嶋はその問いに答えを見つけようと、深く考え始めた。

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第六章:無限のビッグバン

響は告げる。

「ビッグバンは本当に今現在の宇宙だけなのか。無限来夢と無限地獄は、すべて私に教えてくれた。ビッグバンが起きた空間の外に、無限大の数のビッグバンがあるということを確認できた。」

牛嶋はその考えに驚き、同時に興奮を覚えた。彼は宇宙の広がりと深さに思いを馳せた。

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第七章:夢の世界へ

響は最後に告げる。

「無限の星があるこの宇宙以外に、『夢』を見る生き物すべてが、ビッグバンの外の空間で起きた、無限大のビッグバンに移動できるということを。」

牛嶋はその言葉に深い感動を覚えた。彼は夢の世界へと旅立つ決意を固めた。



彼の涙と、かおるの宿題

午後の陽射しが穏やかに降り注ぐ中、歩道橋の上に立つ彼は、遠くの景色をぼんやりと眺めていた。その目は、どこか遠くを見つめるような、深い思索に沈んでいるようだった。彼の手には、かおると共に描いた油絵が握られていた。

ふと、背後から声がかけられた。「何をしているんだ!」その声に振り向くと、見知らぬ五十代の男性が怒鳴りながら近づいてきた。彼は一瞬驚き、言葉を失った。

だが、次の瞬間、彼は意外なほど冷静に口を開いた。「かおるとお腹の赤ちゃんが、交通事故で死んだので、もう少し先に行けば会えるのです。」

その言葉に、男性は一瞬言葉を失ったようだった。しかし、すぐに彼の肩を強く掴み、言った。「お前、男だろうが!」その言葉が、彼の心に深く響いた。

「そうだ、僕は男だ。」その瞬間、彼の中で何かが変わった。涙が溢れ、声を上げて泣いた。彼は、かおると共に過ごした日々を思い出し、再び生きる力を取り戻した。

彼はその後、病院での治療を受け、回復への道を歩み始めた。そして、かおるとの約束を胸に、平和のために何かできることを模索し続けた。彼の心には、かおるの笑顔と、あの時の言葉がいつまでも生き続けていた。



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