第10話

 警察による捜査や検証が終わり、俺は荒らされた場所を眺めていた。

 衣服やゴミやまだ片付けられていない、そこに置いていた段ボールの中身までもが散乱。

 ただ不思議な事に荒らされたのがリビングのみ。

 預金通帳や印鑑、パソコン類などは無事であったため、物盗りの泥棒の仕業とは思えなかった。

 警察は被害届を出すかどうか聞くが俺はいいえと答えた。

 何せ今の状況だと、ただ単に俺が勝手に散らかしてしていたのを忘れてしまっていたのではと疑われいた。

 証拠すら残っていないのだから、被害届を出したところで無駄だろう。

 警察が帰ったあと、散らかされていた物を片付け始めた。


「しかしどうして。それに貴重品は無事だし……あれ?」


 散らかされているゴミの中に白紙の入った封筒がないのに気づく。

 ゴミ箱の中を漁ると、どれだけ探しても封筒はなかった。

 ゴミの回収にもまだ出していないはずだ。

 目的が封筒だとすれば同一人物?

 いや、それよりも似たような状況があったような‥…。


「そうだ。端山さんがそう云った話をしてたな」


 俺はスマホを取り出すと、端山治正に電話をかける。

 解散するまえに全員と番号を交換していた。

 千鶴や千奈も端山さんと交換はしていたが、まさか嬉し泣きするほど喜ぶとは。

 杉田さんに関しては俺の連絡先を交換したが、いつかかってくるのやら。

 電話し始めてからプルルと音は鳴るが一向に出る気配がない。

 仕方がないと思いながら消すと、俺はテーブルの上に置いてあるノートパソコンを開く。

 パスワードを入力すればデスク画面が表示されていた。

 隠岐村関係というフォルダを開くと中には各日にちのメモ帳や画像が複数置いていた。

 俺がその日に聞いた出来事などをまとめた記事だ。


「現在お憑き様として分かっているだけでも、信仰の神。七月という期間。生贄。関係はあるのかわからないが、今起きている白紙の手紙」


 今回端山家で起きた出来事や文彦さんの話をこれまでと共にまとめ始めた。

 腹の音が鳴り始め、気が付くと外は暗く時間は二十二時を過ぎていた。


「もうこんな時間か。端山さんからの連絡はなしか。まあ明日かけなおせばいいか」


 俺は夜食用のカップ麺を食い終わると寝床についた。

 寝る前に新聞記事を再度確認してみた。

 どうしてこの時、何となくの行動をとったのかはわからない。

 だが、ふとある文面に注目がいく。


「やっぱ殺されてるよなこれ」


 腐乱死体の記事。

 その中で端山夫妻・・・・は首を刃物か何かで喉を掻っ切られ死亡したといわれる。

 端山家はこの事件に巻き込まれた。

 いや隠岐村またはお憑き様に知ってはいけない部分を知り殺された?


「他の事件とは違い、これだけはっきりしてるが憶測でしか考えられないのがもどかしいっ! やっぱり明日再度電話してきいてみるか」


 風呂に入ろうと思った矢先、玄関のチャイムが鳴る。


「こんな時間に訪問販売か?」


 俺は玄関のドアを開けた。

 日本の田舎だからという警戒心のなさゆえに招いた失敗。

 ドアの前には巨漢な男達が複数人立ち、俺が出た瞬間目の前には暗闇と袋の擦れる音。

 大袋で包まれた事をすぐに理解するが抵抗虚しく、無理やり車へと乗りこまされた。

 そう俺は拉致されたのであった。


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