第20話
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〈FortunaMail〉
今のあなたのポイントは45ポイントです。
これからあなたに電話がかかってきます。その電話に、
① 出る 0P
② 出ない -20P
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つい先程着信した〈FortunaMail〉だ。
こんな選択肢、普通に①の『出る』に決まっているだろう。
簡単だ。
そう考えた直後。
綾子の携帯電話が鳴る。
携帯を握りしめていた綾子は、着信相手の名前を見ることなく、通話ボタンを押した。
数分後。
綾子の気分は、最悪だった。
電話の相手は、元彼氏の高田だったのだ。
内容は、ダメ男の定番文句「また付き合ってくれ」だった。
高田の要件を聞いた直後、綾子はすぐに電話を切った。
だが、数秒後にまた着信。相手は高田。
高田は、綾子と付き合っていた頃の思い出を語る。
「満点の星空の下、デートしただろう。」
…それは、私が何時間も寒空の下待ちぼうけをしていた時のことだろうか?
「プレゼントしてくれたネックレス、片時も離すことなく身につけてるぜ。」
…一ヶ月分の給料で買ったアクセサリー。付けてるの見たこともない。
綾子は、高田に、寄りを戻す気は全くないことを告げ、電話を切る。
だが、なおも高田からの着信は続く。
うんざりした綾子は、高田の番号を着信拒否設定にする。
…最悪の気分である。
気分を変えたくて、徹に電話をかける。そう言えば以前に『冷たくしろ』の指示があったが、もう大丈夫だろう。
「はい。もしもし。」
徹が電話に出る。
綾子は、八つ当たりの如く、今あったことを徹に話して聞かせる。
親身に相槌を打ちながら、綾子の話を聞く徹。
「もう。最悪の気分。あんな奴、この世からいなくなっちゃえばいいのに。」
その綾子の言葉に、徹が反応する。
「…綾子。今、君、何を言ったか、自分で解ってる?」
「え、だからあんな奴、いなくなっちゃえばいいって…。」
「冗談でも、今のは口にしない方がいいよ。」
徹の口調は真剣だった。
徹は、いつでも真面目だ。そんな徹の言葉に、カチンとくる綾子。
「徹はいつもそうやって真面目ぶって。私の気持ちにもなってよ!」
口調の荒くなる綾子。
「いや、違うんだよ。ほら、この前、車の中で言ってたろ。フォルト…」
「うるさいうるさい!」
綾子は、徹の言葉を遮って、電話を切るのだった。
…そういえば、高田は、綾子の住所も知っている。
ここまでこられたら、どうしよう。電話を切った後で、徹に助けを求めづらくなってしまったことを、綾子は今更後悔するのだった。
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