ブッカーズ編

第4話 魔法少女は進展を望む!

今は山奥です!!!

ノーレンジの魔法を真似して転移してみましたが!

なんと山奥!!!

しかも制御をミスしてしまい!右足が木に埋もれています!


ふぅ、

少し右足がズタボロになりましたが、時間をかければ治ります!

危なかったです!!!


さてここは何処でしょう?

大きく息を吸ってっっっ!!!


「だぁぁあ!れぇぇえええ!かぁぁぁあああ!

いぃぃいいい!まぁぁぁあああ!!

すぅっっっ!!!かぁああああ!!!」


返事がありません!

鳥が飛んであってしまいました!!

木々の間から虫が落ちてきます!!!


むぅ。


頭の虫をどかしって!

長めの枝を拾って地面を突きながら歩きます!

楽しいです!


そういえば!

無くなった右手が!転移と一緒に戻ってきました〜!!!

ぱちぱち!ぱちぱちー!

次は捕えられてはいけませんよ?


というより!

あの時は右腕どころか色んな所が無かったんでした!


魔法少女は怖いです!




そんなこんなで家を発見!


「失礼します!」


勢いよく開けると、扉は吹っ飛んで木にぶつかって壊れてしまいました!


「こへっ、へっ。息がしづらいです!でも最強なので!我慢です!」


最強魔法少女に木屑とか埃とかは効きません!


けほっ!


「今日はここで寝泊まりです!明日は何をしましょうか。ふんふん。ワタシは魔法少女!人々を助けるのが使命っ!!!」


お腹は先ほど食べたモニョさんで満足しています!



ぐっすり眠って明日も活動です!!!





⚪︎⚪︎⚪︎プリンセスブレード 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎




「以上が、タイプSS。推定魔法人形との交戦記録になります」


「報告感謝する。カナタくん」


人形から数日が経過したある日。

プリンスブレードこと姫柊ひめらぎカナタは、⚪︎⚪︎支部へ作成した資料を提出しに出かけていた。


橙子とうこさん。やはり今回の魔物は新種で、尚且つ新たな特性を持つ魔物であると思いますか?」


「そうだろうね。前線を引いて久しいが、知識だけはあるつもりだ。そんな私でも人の言葉を介す魔物は聞いたことがない。似たモノなら人の声に似た音を出す魔物がな」


「ではやはり、懸念されてい通り」


「人類は苦境に立たされる事になるだろうね」


橙子さんは疲れを払う様に首を振る。


「記録では発展の時もそうだ。人類が優勢である中で急に特殊や強化個体が現れ、そこからの人類は対応と適応に数十年要する事になった。

人的被害を発展の発生前に戻したのは犠牲と努力の結果にある」


「では今回の個体を呼び水にまた発展の再来が来てしまいますね」


わたくしは日本の魔法少女においてそれなりに高い位置にナンバリングされておりますわ。

驕りのような発言にはなりますが、そんなわたくしでも仕留め損なった魔法人形。


仕留め損なった原因は、わたくしの努力不足もありますが、あの適応力。

魔力を喰べるという性質上、それが魔力回復だけの効果とは考え難いですわ。


それに最後に見せた転移。

仮に交戦した魔法少女の能力をコピー出来るのだとしたら、その脅威はSSを超えますわね。それこそ歴史に名を刻むSSSにまで。


「カナタくん。君がそう気を落とす事はない。

かつての人類は240年という歳月を大きな進展の無い敵と交戦していた。それ故に60年前に起きた発展という突如の変質に対応の遅れが出た。

だが我々はその上に成り立っている。我々が歴史に学び進化を遂げる様に、相手もまた進化する。いつか来る未来が今来たに過ぎない。

我々が乗り越える事で、その糧を次の人類に繋ぐ事が出来る。

現場で命を賭して対応する君達に苦労をかける事になるが今一度願おう。

魔法少女とは。過去、未来を繋ぐ希望であり今を生きる英雄の名だ。

だが英雄は幾重の運命によりその身を容易に擦り減らす。しかして我々は追随者。

並び立つ事は叶わぬ身。魔法少女が前を向く希望なれば、せめてその後顧は守らせてくれないだろうか」




⚪︎⚪︎⚪︎魔法少女 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎




「ふぁああ〜!!おはようございます!!!!」


ぐっすり眠って、おめめぱっちり起きました!

そして少しお腹が減りました!


モニョさんが恋しい。

あの食感と味をもう一度っ!


開ける扉の無い家から出ると!

なんと目の前には大きなクマさんが!


「初めましてっ!名前はまだ無い最強魔法少女です!・・・・・・そうでした。ワタシ逃げたんでした!最強じゃない!?」


「ウォオ”オ”オ”ォォイ、ウ”モォオ”オ”オ”ォォイ”」


「うわっ!危ないですよ!もう!急に襲ってくるなんて昨日の魔法少女じゃないんですからっ!!」


ぐぬぅ。なんだか嫌な気持ちになってきましたっ!

こう、身体がムカムカしてきます!!!


「ん〜〜!!!マジカルっ!!パンチ!!!」


ダメです!むしゃくしゃした気分では人助けなんて出来ません!


心機一転!!!

新しいことをしましょう!!!


そうして家を出て1歩でまた家に帰るワタシ。


「せっかくですから住み心地を良くしましょう!!!」




⚪︎⚪︎⚪︎




「しゅ〜りょ〜!!!」


なんと!

部屋の中から大きな鏡とそれなりの服が出てきたではありせんか!


最強(1敗)魔法少女は実は!

おしゃれ魔法少女だったのです!


「うぅ、まさかワタシの左目が無かったなんて・・・・・・。しかもプリンちゃんに斬られた腕とかと違って時間が経っても戻らないですし・・・・・・」


悲しいですけど、

人体は不思議でいっぱいです!

左目は包帯でぐるぐるです!!


そして!

変身コスチューム以外にも服が手に入りました!和服ですよ!和服!!!

和ってなんでしょうね。


「わぁぁぁああああ!!!」


鏡の前でくるくる回ると袖がひらひらして!可愛いではありませんか!!!


「・・・・・・ごめんくださーい」


「ほよ?」




⚪︎⚪︎⚪︎桐原さゆ 視点 ⚪︎⚪︎⚪︎




私は桐原きりはらさゆ。魔法少女なんです。


「えっと、次は移動教室だったよね」


荷物をまとめ、別棟へと足を運びます。


「最近さ。あんま大きな事件起きてねぇよな」


「そうか?確か九州で大規模な揺らぎがあったらしいじゃん」


「あったというか、今も終わって無くね?」


「あー、あったな。まぁでもここには関係ねぇしなぁ」


「現地の魔法少女もほぼ総出で対処してるらしいけどな。あんなんが俺らのところで起きたらまず逃げるわ」


「それはそう」


同じ教室へ向かう同級生男子の声が聞こえてきます。


ここは関東ですからね。

しかもここ1ヶ月くるいは本当に平和ですしね。私もこの地で魔法少女としての活動を最近はまともにしていない気がします。

他への応援が主な仕事内容ですね。


「大規模な揺らぎ。もしこの地で起きたら私は・・・・・・」


ティロンっと携帯の音。

確認すると支部からのメッセージ。


『サポーターのふりです。⚪︎△山で本日早朝、高魔力反応が検出されました。揺らぎではない為、魔法少女がまた申請を出さずに魔法の練習をしているのかと。サポートは私が行います。学校が終わり次第、見にいけますか?』


『うん、問題ないよ。それにしても珍しいね。魔法少女のお仕事』


返信をすると時を待たずに帰ってくる。


『最近は揺らぎの発生が少なく、尚且つ付近の重要な結界もほぼ解決され平和が保たれています。魔法少女が暇を持て余すのも無理はないかと。

ですが、それは申請も出さずに暴れていい理由にはなりません』


『そうだね。幾ら人目につかない山でも危ない事には変わりが無いもんね。それじゃ学校が終わったら連絡するね』


サポーターのふりさん。

学校で友達が居ない私のほぼ唯一の話し相手であり、クラスが別の同級生。


「ふふっ」


こんな仕事のやりとりですら嬉しく感じてしまうから、一歩を踏み出せないんだよね。



⚪︎⚪︎⚪︎




『集合は支部でいい?』


『いえ、今回は揺らぎではない為、直接現地へ向かって下さい。位置はマップにマークしてあります』


『了解。わかったよ』


会えなくても仕方ない。だって仕事だから。

でも少しくらいは会って話したいよね。


友達、なんだし。

・・・・・・あっでもどうだろ。私が一方的に言ってるだけかもしれないし。ふりさんにはふりさんのプライベートがあって、

・・・・・・そっちで友達も。居る。よね。


うぅ。はぁ。折角同じ学校なのになぁ。

なんで私は勇気がないんだろ。


ううん。

仕事!仕事しないとっ!切り替えていこっ!


「えっと、たしか魔力の残滓を調べるんだよね。この辺の魔法少女だったら何回か会ったことあるし、もし出くわしてもいきなり戦闘とかにはならないはず。多分」


申請をせずに練習と称し魔法を使用する魔法少女はたまにいる。

緊急時の使用は認められているものの、それも人命を守るために仕方なく使うものだ。


私達の攻撃魔法はどうしても破壊が伴ってしまう。地面、建物、形ある何かを確実に傷つける。

だからこそ、相手が魔物であり周囲の被害を魔物対策委員会の大人たちが工面する。という構図のおかげで、私たちはただの破壊者にならずに希望の象徴と言われる様になっている。


「んっと、ここら辺かな。だいぶん山奥だね」


個人差はあれ魔法少女の体力は魔力が補うという事もあり、私でも山を徒歩で登るくるいは出来てしまう。


『ブッカーズ。現地に到着しました。何か気になる点はございますか?』


「えっとね。とりあえず、荒らされた形跡は無いかな。思いっきり魔力放出だけをしてたのかな」


『でしたら地面に何かしら跡があるはずです。こちらでも調査を行いますので、周囲の散策をお願いします』


「うん、わかったよ」


見渡してもただの森である。至って変なところはないし、魔力探知にも引っかかるものは無い。


「気のせいって事も無いのね。だって支部の機器が反応したんだし。

ん〜・・・・・・あれ?」


そこにあったのは木にぶつけられた扉らしきもの。

ひしゃげていて扉か薄い壁かの判断は出来ないが、ドアノブが転がっているのでおそらく扉だろう。


「これ、なんだと思う?」


『扉でしょうか。近くに民家はありますか?』


「ん〜と、あったよ。ちょっと離れてるかも」


『行ってみましょう』


300mは離れていそうな場所に古い古屋が建っていた。

そして古屋から子供の大きな声が聞こえてきた。


「だ、大丈夫かな」


『適正魔力反応は0です。問題は無いとは思いますが警戒を』


「うん。それじゃゆっくり近づくね」


私の武装である本を宙に浮かせ、いつでも攻撃ができる準備を整え声をかける。




「・・・・・・ごめんくださーい」


「ほよ?」

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