第7話

逃げました逃げました。

そりゃもう図書館に逃げ込みましたよ。

そして俺はその威力に大興奮しております。


「爺さん!なんかすごい威力の魔術が打てた!」


「すごい威力…?もしや威力上昇の言語を多く書いたのか…?」


「そうだな、4個くらい?」


「その感じだと草原の角無しウサギじゃろ…?過剰すぎるわい。角無しウサギ相手なら一つで十分じゃ」


おぉ、絶対に威力過剰だったことをわかってらっしゃる。

この先進むならもっと早く打ちたいし威力の目安とか速く撃つ方法でも聞くか。

これでも俺の師匠だし。


「師匠!俺、今魔術を撃つのに1分ぐらいかかるんですけど速く撃つ方法ありませんか?」


「なんじゃ、そんことか。速くしたいならば《書字速度上昇》を獲るか練習するるんじゃの」


「そうなんですか…」


「まぁそう気を落とすでない。別にまだ方法がないわけじゃない」


「そうなんですか!?」


この爺さんやりおる。

下げてから上げるとはなかなかに話術巧じゃないか。

文学部の俺でも真似したいぜ。


「お主、空のスクロールを知っておるか?」


「知らないです」


「そうじゃろうと思っとったわい。これがその空のスクロールじゃ」


うーん、忍法が書かれている巻物を洋風にした感じのものを出されたな。

開いてみると、あらまぁ白紙。

空のスクロールって言ってんだから当たり前ですよね。


「これをどうするんですか?」


「お主、《錬金術》のスキルは持っておるか?」


「持っていますよ。副職が錬金術師なんで」


「なんと!?珍しいのぉ珍しいのぉ!ふつうは戦闘職を獲ったら第2職業も戦闘職を獲るものが大半なのじゃ!」


「ほぇー」


そうだろうな!だってみんな火力の魅力にとらわれるもの!

男友人①はメインは剣士にしてサブは鍛冶師にしてたけどな!

あ男友人②は「回復を極めるんだ!」って僧侶と薬師になりました。

あれ?薬師って生産職じゃね?まぁええか。


「錬金術のスキルで特殊なインクを作成しそのインクを使って魔術陣を書くのじゃ」


「ほぉ、師匠素材はなんですか?」


「スライムじゃ。草原を探し回ったら多分おるぞ」


「本当ですか!?じゃあ今から探しに行ってきます!」


「あ、ちょっ!まつのじゃぁぁぁぁ」


こうして師匠の叫びを聞くことなく俺は飛び出していくのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る