ー2章ー 12話 「錬成スキルで仲間の盾を作ってみた」

あれから数日、僕は剣の練習をしている。


他の三人はと言うと、リシアとルナは魔法系の特性という事で、当然だがやり方が分からなかった。

そこで多少の心得があるオルセアに指導してもらい、魔法について学んでいる。


一方ガルドは防御の特性なので、そういった何かをしているのかと思いきや、相変わらず地面に埋まった大きな石を何とかほじくり出そうと今日も懸命に戦っていた。


いやいや……もっとやる事あるだろうよ。


それぞれが何かを掴み取ろうとしている中、ガルドだけが別行動しているのを見かねたのか、オルセアがある提案を持ち掛けてきた。


「アレン、お前の錬成スキルでガルドの盾を作ってやれないか?それも大きいヤツをな」


……なるほど。

実際に盾を持たせて扱い方を学ばせるという事か。


まぁ石をほじくっていても防御力は上がらないどころか、何の関係もないからな。

いっちょやってみますかね。


僕はリクエスト通り、大盾をイメージした。

あくまで三歳児が扱えるサイズのを。

現代ではRPGをやり込んできたと自負している……比較はしてないけど。


それでも大盾という物がどういうのかは理解している。

ここは一つカッコイイのを作ってあげますか!


僕は鉄製で獅子がデザイン彫りされた大盾をイメージした。


……が、


「エラー。初期想像錬成で扱えない素材です」


なんですと!?


素材の制限があるのか……中々厄介だな。

結構いい感じの大盾をイメージできたのに。

そう思っていると、また例の声が告げた。


「初期想像錬成で可能な素材に変換。錬成、再構築します」


おお!

自動で修正してくれるのか!?


淡々と喋るわりに、いい仕事をなさるじゃないですか……あなた。

実に素晴らしい!


すると荷車の時と同じように白い光が目の前を包み、少しずつ錬成した物体が姿を現す。

相変わらず眩しくて直視できないが、確実にその物体は構築されている。

そして出来上がったのは、木製の大盾だった。


どうやらまだ扱える素材は木だけのようだ。

初期って言ってるからそんなもんだよね。


だが驚いたのは、獅子のデザイン彫りは反映させていた事だ。

この仕上がりはかなりカッコイイ!

細かいところまでイメージすると、それも反映されるのか。


これは今後の錬成が楽しみだ。


何はともあれできあがった大盾をオルセアに見せてみる。


「これでいい?」


オルセアは手に取り、重さや形、耐久性などを入念に調べだした。

いや、練習用なんだからそこまでしなくても良いのでは?


そう僕は思ったが、そこは戦場を渡り歩いてきたプロ。

いつもこうして身を守る物をしっかり見定めてきたのだろう。

僕も見習わなくては!


「よし、問題なさそうだ。アレン、ありがとな!……それと、このデザインは中々だぞ?」


お褒めのお言葉を頂戴しました!


錬成したのはこれで三度目だけど、ボルンの時と同様誰かの役に立つって、やっぱり良いもんだな。


オルセアは僕の頭を撫で、大盾を片手にガルドの元へ向かった。


さぁガルド君、石をほじくる時間は終わりだ!



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