第4話 答えと疑問

「……え?つまり、幼稚園時代からの初恋の相手が…お互いだったと」

 美夏があごの下に手を当て、言った。

「いや、知ってた。ってだけで好きとは限らない…くない?」

 波留香が首をかしげていった。

 ここは私の家。同じクラスのイケメン…如月陽こと嘉賀陽さんに告白されたこと…。

「……いや!結果的に両想い!付き合え!」

 ……波留香、考えるのめんどくなったでしょ。

「いや…まだちょっと恥ずかしい…」

 少しほほが熱くなった。

「……何だこのかわいい生き物」

 美夏、真顔でそれやめてくれ…余計はずい。

「……んじゃ、嘉賀っちのことを陽くん、って呼ぶことから始めますか。」

「確かに、おっけーだったら名前で呼んでって言ってた」

 勝手に話を進めていく二人。

「……嘉賀さんのことをねぇ…」

 確かに苗字にさん付けは…あれなのか?向こうからは「亜紗妃」って呼び捨てだしな…。

「きめた!」

 おー、波留香勝手に決めるな?

「まずは嘉賀さん、じゃなくて嘉賀くんって呼ぶんだ!」

「それくらいなら…」

 勝手に決めるのはどうかと思うけど。

「……じゃ、まずはいつから嘉賀くんが亜紗妃のことを好きだったか。聞かないと」

 美夏……ハードルを考えてくれ。告ってきたやつにいつから?なんて聞けないって。

「……今電話すれば?」

 波留香、ぶっこまないで?思ったけど!それ思ったけど!

「……電話番号って誰知ってる?」

「あ、うち持ってる!」

 うん、もうあきらめようかな。突っ込むのにも話にも追いつけないし。

「よし!亜紗妃!携帯持って!今からいう番号打って!」

 美夏が横に置いてあった私の携帯を手の上に置いてくる。

「マジのマジでやんの?!」

「当たり前じゃん」

 なに?!お二人ともキャラ変ですか!?

 波留香、真顔やめいっ!

 まぁ、波留香は真顔でウケるっていうタイプだけど!

「え、マジなん?」

「なんかい言わせるの。マジ」

 波留香~!せめて笑って。

「いくよ~?080~~~」


 プルルルル


 機械の通話前の音が鳴る。


「部屋の前いるね~」

 こういうときだけ笑うんだから!波留香は!

「……聞いてるねっ!」

 美夏までぇぇぇ!


 ……ん?着信音消えた…。

『もしもし?どちら様ですか?』

 さっきまで話してた声とは何か違う低く威圧的な声。

 のおおおお!!嘉賀陽くん降臨したああ!私の携帯に降臨してっ!

「もしもし、茅ヶ崎だけど」

 心の叫びを隠し、平然と言葉を発する。

『?!亜紗妃?!どうしてっ?!』

「あはは、聞きたいことあって」

 から笑い、とはこのことを指すんだね~。

 初めて知った。

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