レディベロアとクイーンルージュ

深海

第1話 出会い


 くもがかった噴水ふんすいのある広場ひろば市民しみんたちでガヤガヤにぎわっていた。友人ゆうじんわせして、無事ぶじ合流ごうりゅうできて広場ひろば女性陣じょせいじん仕事しごといのかベンチにもたれる老人ろうじん老若男女ろうにゃくなんにょ広場ひろばにぎやかだが、そのなか噴水ふんすいふちすわ項垂うなだれる婦人ふじん一人ひとり



 「はあ…………」

 あしかくすほどながいドレスを赤髪あかがみ女性じょせい項垂うなだれている。んでいると市民しみん男性だんせいこえをかけた。

「おねえさん、なにいやなことでもあった〜?」

 うわ、へんなやつにこえをかけられた。とかおすべている。その背後はいご青髪あおがみ少女しょうじょこえげている。


 

「ここでわせをしているんです‼︎‼︎しつこいですよ‼︎」

 赤髪あかがみ女性じょせいこえをかけた男性だんせいもつい、そちらにけた。

 青髪あおがみ少女しょうじょは「是非ぜひ取材しゅざいを!」と記者きしゃらしきひとこえをかけられていた。視線しせんかんじた少女しょぅじょくと赤髪あかがみ女性じょせいった。おたがこまっていた。

ぼく、このおねえさんとわせしていたんです‼︎じゃあ‼︎」

 と女性じょせいうでんだあとってはしっていった。


 

 ハァハァといきれる。はしれてないからだ。

「おねえさん‼︎ごめん。あのひとからげるために使つかって。」

 建物たてものかげかくれたあと少女しょうじょいてあやまった。

「いえ、わたしもめんどくさいのにつかまったとおもってたからたすかりました。」

 少女しょうじょまったいきがっていない。男性だんせいみにあしはやかったのもになる。


 

「おねえさん、なんであそこにいたの?」

いえしてきちゃって…いるところがなくて、かな。」

 理由りゆうすべてではないことはてわかるが、少女しょうじょ深追ふかおいしなかった。

「じゃあ、ぼく一緒いっしょたびをしにかない?」

「え?」


 

 カフェにはいり、一度いちどくことにした。コーヒーめるの?大人おとなだねと少女しょうじょはホットチョコレートをたのんだ。あまくて美味おいしいとほほゆる少女しょうじょに、女性じょせいもつい緊張きんちょうがほぐれる。

「あの、貴方あなたのお名前なまえいてもいいかしら…?」

「え?名前なまえ?うーん、ないかな。」

「おとうさんやおかあさんはいないの…?名前なまえがないってどういうこと?」

 女性じょせい大変たいへんなことにれてしまったのかとあせる。

ぼく人間にんげんじゃないからおやはいないよ。づいたらまれてたの。」


 

 いくら個室こしつとはいえ、自分じぶん人間にんげんじゃないというかれてよくわからないところまでてしまったのかと不安ふあんになった。

「よかったらおねえさんがぼく名前なまえをつけてよ。」

 ニコッとくびすこかしげたさいに、お団子だんごにまとめたかみむすんだあおいベロアのリボンがゆれれた。



「じゃあ、レディベロアとか。」

「いいね、じゃあぼくはおねえさんのことクイーンルージュってぶね。」

「ク、クイーン?わたしが?」

「うん、ぼくなかでクイーンになるほどうつくしいとおもったし、ルージュがお似合にあいだよ?」

いけど……」


 

 クイーンなどとばれると本物ほんもの王家おうけへのもうわけなさがすこしあった。

「あの、きたいことがあるんだけど…人間にんげんじゃないってったけどじゃあ貴方あなた動物どうぶつなの?」

「ユニコーンだよ。」

 ユニコーンって一本いっぽんつのえたちょっとこわけものじゃなかったっけ……乙女おとめこのむってほんんだことあったけど、まさかねとクイーンルージュはふかかんがえないことにした。


 

「あと、たびのことだけど、どこにくの?」

 レディベロアはホットチョコレートをえ、ココアをたのんでいた。あまものきなのだろうか。

いをさがしているんだけど。」

 ユニコーンのいという時点じてんで、人間にんげんではないのだろうなとクイーンルージュは勘付かんづいた。

「ラヴァをさがしてるんだ。」


 

 クイーンルージュが国自体くにじたいが『Lava(ラヴァ)』というのだが、くに守護龍しゅごりゅうからそのまま名前なまえをもらい国名くにめいにしている。レディベロアがさがすということはりゅうほうだろうなとクイーンルージュはさっした。

 これらのくにはそれぞれ五頭ごとう守護龍しゅごりゅうによってまもられている。Lava(ラヴァ)には白龍はくりゅうが、となりのCeleste(セレスト)には青龍せいりゅうが。Maize(メイズ)には黄龍おうりゅう。Jade(ジェード)には緑龍りょくりゅう、Crimson(クリムゾン)には赤龍せきりゅうがいる。龍同志りゅうどうし仲間なかまで、日々ひび各々おのおのくに守護しゅごつとめている。


 元々もともとLava(ラヴァ)というくに赤龍せきりゅう守護下しゅごかだったが、赤龍せきりゅうわか白龍はくりゅう保護ほご修行しゅぎょう守護龍しゅごりゅうとしてのちからをつけたとみなされ、Lava(ラヴァ)というくにゆずってもらったのだとか。赤龍せきりゅうはその一部いちぶくにをクリムゾンと名付なづあらたに守護しゅごまわるようになった。


 

「これはあくまでうわさなんたけど。」

 レディベロアは神妙しんみょう面持おももちで小声こごえはなした。クイーンルージュもかおちかづける。

「Lava(ラヴァ)の王族おうぞくが、守護龍しゅごりゅうである白龍はくりゅういじめているらしいの。それで守護しゅごちからよわまっていて、とくに、クイーンのような赤髪あかがみ一族いちぞく方々かたがた地上ちじょうからの魔力まりょく補給ほきゅう低下ていかかんじているとおもうんだけど…」

「な、んでわかるの?わたし家族かぞくはもうここにめない、とながんだLava(ラヴァ)をはなれて、いまはCrimson(クリムゾン)にんでるの。」

 だれにもはなしたことないのに、とクイーンルージュはおどろいた。


 

「うん、まあそうだよね。さっきもったけど、ぼくはユニコーン。青龍せいりゅうのセレストとっていまはセレストの保護下ほごかにいるの。そしたら白龍はくりゅうラヴァの気配けはいえた。守護しゅごちからよわくなると、とく赤龍せきりゅうとのむすびつきがつよ人間にんげん自分じぶん魔力まりょく回復かいふくするしかなくないかららすだけでもどんどんつかれていくの。だから一族いちぞくごと移住いじゅうしたひとおおくないとおもうよ。クイーンは膨大ぼうだい魔力まりょくっているんだけど、流石さすが限界げんかいがきてるみたい。気力きりょくくして、広場ひろば項垂うなだれてたのはそのせいだともおもう。」


 

 ここ最近さいきんちからはいらなかったのはそのせいなのか…と納得なっとくがいくようだった。そのあと、レディベロアのはなしによると、守護龍しゅごりゅうみずからのくにまも責務せきむがあるため、くにからることができない。そのため、唯一ゆいいつうごまわれるレディベロアに青龍せいりゅうセレストが仕事しごとたのんだという。とりあえずCeleste(セレスト)からとなりのLava(ラヴァ)にてみたということだった。

「Lava(ラヴァ)にてみたけど気配けはいかんじとれないから、とりあえず各国かっこくまわってLava(ラヴァ)にかえって最後さいごにCeleste(セレスト)にかえろうかなとおもっているんだ。ってくれるかな。」

「そういうことなら。」

 白龍はくりゅうラヴァをさがたびはじまった。

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