幼い日の記憶


「ママ、見て!」



そう言って目を宝石のように輝かせながら誇らしげな顔をして小学校から贈られた賞状を掲げる少女。




これが私。今井すず 7歳。

この時の私はただただ親に褒められたくて必死だった。




「そんなのお姉ちゃんは毎回もらってきてるわ。」



一度振り返って賞状を見た母が私が想像していたより遥かに低い声で冷たく言い放った。



賞をもらった瞬間、賞状を渡されたその時から胸を高鳴らせその後の帰りの会でさえ母が喜ぶ姿を想像しながら〝早く帰ってママに言いたい〟としか考えてなかった私はその言葉に苦しくなって、母がいるキッチンに背を向け自分の部屋へと静かに向かった。



自分の部屋の戸を閉めると忽ち涙が溢れてきた。



いつもそう。もう慣れっこなはずなのに。



毎回何かある度に期待してしまう。


私は幼いながらに学校には通わせてもらっているし、ご飯は食べさせてもらっているし、きっとこれは愛されていなきゃ無理なことだと考えていた。


学校に行くのにも何をするにもお金はかかる。

私は習い事だってしてる。



愛していなかったらこんな贅沢な暮らしは出来ないだろう。



そう。私はちゃんと愛されてる。

大丈夫だよ、すず。あなたは愛されてる。

私は扉の前で泣きながらそう自分に言い聞かせた。


ねえ、神様。私、愛されてるよね…?

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